うなぎ屋関連の人たちが自然と集まってくる
── 芸人以外の方とのおつき合いもあるんでしょうか。
鰻さん:つき合いと言えば、うなぎの養殖協会の会長さんや仕入れ業者さん、うなぎ屋さんの店主まで、うなぎ関連の人たちの連絡先だけはたくさん知っているんですよ。うなぎ屋を開けるくらいの大きなコミュニティができているんです。僕のまわりに。

── なんと。それはなぜなんでしょう?
鰻さん:みなさんのほうから連絡してくれるんです。僕のSNSとかを見て。もうね、これに関してはすんごい人脈があるんですけど、何も活かせていない。鰻姓の人はうなぎを食べると命が危ないっていう迷信がありますから、肝心の僕がうなぎを食べられない。もったいないですよ。
── そうなんですよね。鰻さんは、名字からうなぎを食べることは縁起が悪くて、食べたことがないそうですね。土用の丑の日は毎年お仕事が入らないとか。
鰻さん:これはほんまのことで、昨年も休みやったと思います。以前、ロケでうなぎを扱う食品会社の工場を訪れたとき、冗談半分で「なんで僕を宣伝に使ってくれないんですか?」って担当者の方に聞いたことがあったんです。そうしたら、「だってうなぎ、食べられないんでしょう?」って言われて。ああ、鰻って名字を語っている限り、うなぎの仕事はこないんだなって思いました。
その迷信を払拭する意味でも、今年こそ土用の丑の日に鰻を食べようと思って、老舗の名店に予約の電話を入れたんです。ところが「土用の丑の日は供養のために店を閉めてるんです」って断られて。店主にお願いしたけれど、どうしても店は開けられないって。もうずっと土用の丑の日は開けてないみたいです。「機会がありましたらお願いします」って電話をきりましたけど。
── 供養のためにお店を閉めるとは…。
鰻さん:うなぎ屋さんって、うなぎを絞めるからじゃないですかね。なんとなくわかります。そこまでしてうなぎ愛を守ってるんですよ。さすがに諦めましたけど、さあ、どうやって食べようかなと思ってますね。
── うなぎを食べることをあきらめてはいないわけですね?
鰻さん:食べる気あります。これからは、ありとあらゆるうなぎの仕事を全部やっていきたいですね。せっかく鰻って名字なんだから。鰻の名字を背負って、おいしいうなぎを腹いっぱい食べたいです!
取材・文/高梨真紀 写真提供/鰻 和弘