赤ちゃんと2人きりの状況で涙が止まらず

── 壮絶な出産を体験して、産後は特に体がしんどかったのではないでしょうか。

 

小松さん:そうなんです。出産後は貧血気味になってしまい、歩くときもフラフラだったので、1か月間ほどは点滴を打ちに産院に行くこともありました。ただ、自宅のある仙台市は、私の実家がある岩手県に近く、産後すぐに母が手伝いに来てくれて。2週間くらいは自宅に泊まって育児や家事をサポートしてくれ、本当に助かりました。

 

でも、母が戻ってからが結構大変で(苦笑)。生後2か月半くらいまでは夜泣きもひどくて、毎日、睡眠時間は2時間くらい。睡眠不足や慣れない育児でしんどい時期が続きました。産後2か月半くらいのころは、涙が止まらない日もあったり…。たぶん育児と家庭の両立を含め、すべてが初めてで、何でもひとりでなんとかしようと思って頑張りすぎたんだと思います。ただ、気分がどんどん落ち込んでいくなかで、そんな自分の状態を客観的に見ることができたときがあって。「子どものためにも、このままじゃダメだ」と、沈む気持ちを止めることができました。

 

小松彩夏
生後5か月になるお子さんと

── そんなことがあったのですね。

 

小松さん:産後2、3か月ごろまでは、育児も家事もひとりで抱え込んでしまっていました。出産前から責任感が強いタイプだったのですが、子どもを産んでよけいにそうなったみたいで。「家事も育児もすべて責任をもって、完璧にやらなきゃ」と意気込んで無理をしていました。「そうしないと、まわりからもお母さんって認められないんじゃないか」って自分で勝手にプレッシャーを感じて、追い詰めていたのかもしれません。

 

あのとき、泣いている自分に危機感を持って気持ちを切り換えられたのをきっかけに、何か困ったり、無理だなって感じたりしたときには、まわりにSOSを出すようになりました。それまでは、授乳も「育児書通りにきっちり3時間おきにあげないと」って必死だったんです。でも、今は「子どもがグズって泣いたらあげればいいかな」と気楽に考えられるようになりました。適度に手を抜くことは自分のためにも、家族のためにもなるんだと実感しましたね。

 

 

新生児の子育ても家事もひとりで抱えこみ、涙が止まらなくなった時期を経て、少しずつ周りにうまく頼れるようになっていった小松さん。先輩ママでもある元『美少女戦士セーラームーン』の同期たちとのやりとりも増えたことで、絆がますます強まったと感じているそうです。

 

取材・文/高梨真紀 写真提供/小松彩夏