「日本一パラスポーツを語れる女子アナ」として知られ、車いすラグビー日本代表の羽賀理之選手と結婚した久下真以子さん。結婚後にお母さんを交通事故で突然亡くし、家に引きこもる生活を続けていた時期があります。ある日、ガラスに映った自分の姿を見たところ──。(全3回中の3回)

母の突然死で夜眠れなくなり

久下真以子
久下真以子さん

──「日本一パラスポーツを語れる女子アナ」として知られ、プライベートでは2021年に車いすラグビー日本代表の羽賀理之選手と結婚されます。仲睦まじく結婚生活を過ごしながらアナウンサーとしても活動していた久下さんですが、結婚から2年後の2023年に「ベストボディジャパン」さいたま大会に出場。MJ(モデルジャパン)部門・レディースクラスで準グランプリを獲得。突然の挑戦のように感じますが、チャレンジされたのはなぜですか?

 

久下さん:当時、母が亡くなってしまって体調を崩していました。交通事故で即死だったので本当にショックで…精神的に不安定になり、夜眠れなくてお酒をよく飲んでいましたし、引きこもり状態になって部屋で体育座りをしてお風呂にも入らないような日々でした。心配した友達がランチに連れ出してくれたのですが、久し振りに外に出てショーウィンドーに映る自分を見たとき、体型は崩れているし、髪やメークもボロボロで、ひどい顔をしていたんです。そこで一念発起ダイエットを決意し、食事のトレーナーさんについてもらって10kg痩せました。2021年に入籍していたのですがまだ式を挙げておらず、結婚式までに痩せたかったのもあります。

 

食事のトレーナーさんは、「ベストボディジャパン」で日本一になったこともある方で、その方から大会に出場しないかと声をかけられたのが出場のきっかけです。「私が出ても大丈夫なのかな?」と最初は思いましたが、夫のように筋トレや食事の節制をして、何か順位がつく結果を残すことに憧れがあったのかもしれません。

 

── 旦那さんからは何かアドバイスありましたか?

 

久下さん:普段から筋トレをしているだけあって、自分とは違う視点でアドバイスをくれました。たとえば、「デコルテをもう少しきれいに見せたほうがいい」とか、「お尻のラインがもう少し上がったほうがいい」とか。また、見た目だけで体重がわかるようで、予想した数字と実際に計った体重が近いことが多くて驚きました。

 

メンタル面でもすごく支えられました。大会が近づくにつれ「やっぱりダメかもしれない」「これ以上、無理かもしれない」と弱気になっていったのですが、「ボディメイク好き?楽しい?」と夫が聞いてきて、「勝ち負けにとらわれてない?」と言われたことでハッとしました。「俺はラグビーが好きだからやってるよ。勝ち負けの前に、そこまでの過程を楽しいと思えるかどうかが大事なんじゃない?」と。大会が終わってからも、結果よりも「いい大会になったかどうか」を気にしてくれました。

「万年ダイエッター」をついに卒業し

久下真以子、羽賀理之
久下さんと車いすラグビー金メダリストの夫・羽賀選手

── 本来はお酒もご飯もたくさん召しあがるそうですが、当時はどのくらい飲んだり食べたりしていたのですか?

 

久下さん:お酒は日本酒が好きで、多いときは8合くらいは飲んでいました。食事は、朝からラーメンやパスタを食べ、夜はおつまみを食べながらずっとお酒を飲み、さらに締めのラーメンを食べる、というような生活でした。

 

── 食べることや飲むことが好きなら、食事管理はつらくなかったですか?

 

久下さん:最初はつらいだろうと思いましたし、それまで「万年ダイエッター」だったので、食事管理も3日坊主で絶対に続かないと思っていたんです。でも、1週間、1か月と続けられたことで自信がついて、がんばれる自分を認められてからつらくなくなりました。もちろん、ひとりでは行き詰まるので、トレーナーさんに毎回食事の内容を知らせて、けっこう厳しく調味料などもダメ出しされました。

 

でも私がドM体質なので、スパルタ指導が合っていたのかもしれません(笑)。お米は1回で何グラムまで、と細かく決まっていたため、逆にハイカロリーな食事が必要な夫の分は何グラムにしたらいいかなど、食事とエネルギーの関係も学ぶことができ、アスリートフードマイスターの取得につながりました。