20代以下が大半のコスプレ界で存在感を放つアヤミーさん(47)。芸能界を夢見て20代で上京するも挫折を経験し、30代は引きこもり生活を送っていたそう。酒浸りの日々を10年過ごしたある日、「コスプレ」によって生きる希望を取り戻します。
オーディションを100回以上受けても全然売れない

── 「コスプレイヤー・オブ・ザ・イヤー2022」の重加工部門グランプリを皮切りに、コスプレの世界で活躍。世界最大級のコスプレの祭典「世界コスプレサミット」に44歳で初出演するなど、遅咲きのコスプレイヤーとして注目されているアヤミーさん。
高校卒業後は芸能界を目指し、地元・福岡でアルバイトをしながら劇団にも入っていたそうですね。20歳のときに地元・福岡から上京されますが、このタイミングで上京したのには何か理由があったのでしょうか?
アヤミーさん:当時おつき合いをしている男性がいましたが、将来を考えて別れたことが理由です。時間だけがズルズル過ぎてしまい、気づけば20歳になっていたので、勢いで東京に出て来た感じがします。所持金は2万円くらいしかなく、住む家も決めないまま出てきたんです。東京に住んでいる友達の家に泊めてもらったり、漫画喫茶で過ごしたりしながら、ようやくアパートが決まって新生活がスタートしました。
── その後、どうやって芸能界のお仕事を見つけていったのでしょうか。
アヤミーさん:モデルやドラマ、CMなどいろいろなオーディションを受けながら、毎日表参道や原宿に行ってはスカウトされるためにウロウロ歩くとか(笑)。オーディションは100回以上受けましたが、書類は通っても面接で落ちたり、最終審査まで残っても最後で落ちてしまったり。それでもドラマの再現VTRの役とかカメラテスト要員(テレビ番組のリハーサルで、タレントの立ち位置や動きをチェックするために代わりに配置される人)として現場にいたこともあります。できることはなんでもやろうと思いながら、チャンスを狙っていました。
その後、縁があって小さな事務所に入れてもらって、アイドルのユニット他いろいろ活動してみましたが、なかなか売れなくて…。20代後半になって、事務所の社長から「本当は何をしたいんですか?」と聞かれたときに、泣きながら「魔法少女になりたいです」と答えました(笑)。
── どういうことでしょう…?
アヤミーさん:実は、子どものころから『クリィミーマミ』というアニメが大好きだったんです。主人公のマミが、魔法のステッキを使って変身していきますが、マミはラベンダー色の髪色でフンワリした髪型。マミの見た目や声はもちろん、『クリィミーマミ』の世界観にも憧れがありました。大人になっても当時の気持ちが残っていて、芸能界でも『魔法少女』として活動したいって思ったんです。
── それが『魔法少女 アヤミー』だったと。
アヤミーさん:はい。2007年、29歳のときに『魔法少女 アヤミー』として歌手デビューしました。ただ、既にいい歳だったので年齢は非公表。ラジオや動画情報サイトでも活動しましたが、思うように人気が集まらず、結局2年くらいで活動を休止することに…。そこから10年くらい、ひきもこりに近い生活になりました。
── 10年というと、30代のほとんど引きこもっていたと。
アヤミーさん:つらかったですね。芸能界で活躍することを夢見て頑張ってきましたが、思うような結果が出ないまま年齢だけ重ねていって。夢と現実の間で気持ちが塞ぎ込み、毎晩お酒を飲んでは泣き、昼間はアニメを見ながら過ごし、また夜にお酒を飲む日々の繰り返しで…。かろうじて親の仕送りと貯金を切り崩して生活していましたが、毎日絶望の中で時間だけが過ぎていきました。