ストイックな夫「積極的に休ませることを意識」
── アスリートの妻として心がけていることはなんですか。
織田さん:結婚してすぐは、やっぱり栄養のことをしっかり学ばなきゃダメだろうなと思って、勉強してアスリートに必要な栄養に関する資格を取ったり、バランスを考えた食事を作っていたりしていました。でも子どもの数が増えるにつれて、夫も自分のことは自分で、というふうに変わっていきました。夫は朝ご飯もアサイーボウルを自分で準備したり、お魚を焼いて詰めてお弁当を作ったりもしています。

夫のことで何より大事にしているのは、睡眠時間です。ゆっくり寝てもらうことを意識していて、「ちょっと疲れてるのかな」と感じたら私がリビングのソファーで寝て、睡眠を邪魔しないように心がけています。夫は普段明るいぶん、疲れていると口数が少なくなるのでとてもわかりやすいんです。夫から特にこうして、と何かお願いされたことはないのですが、何となく察して動くことが多いですね。
── まさに「あうんの呼吸」ですね。
織田さん:つき合っているときからメンタルの面で負担をかけないようにしようというのはずっと思っていました。5年つき合ったなかで実は私がデートに誘ったことは1回もなくて。若かったので、「今日、会いたいな」という日があっても、私からは口にしてきませんでした。「きっと疲れているだろうから」という意識がいちばんにあったので、こちらからはあまり求めすぎないということが知らず知らずのうちに身につきました。
── メンタルがパフォーマンスに影響するとよく言われます。
織田さん:夫は、休むことが苦手なんです。ずっと練習をしていないと不安になるタイプで、過去には、やりすぎてしまって怪我に繋がることもありました。なので、休むことを積極的にうながすようにしています。夫が「今週オフがあるから、どうしようかな」と言っていたら、「私も空いてるから、一緒に出かけよう」と誘って連れ出します。夫婦揃って大好きなかき氷を食べに行くことを提案することも多いです。
── 根っからのストイックなんですね。
織田さん:いろんなタイプの方がいるかと思いますが、夫の場合はそうですね。あまりに疲れていたらちょっとそっとしておくとか、あとは子どもたちにも「パパ疲れているから、あんまり騒がないようにね」と声をかけることもあります。
── 織田さんといえば、織田信長の子孫だということでも話題になりました。織田家のしきたりのようなものはあるんですか。
織田さん:よく聞かれることですが、あまりないんですよ。夫の母は、嫁いでから「明智家の家紋の、キキョウの花はお仏壇に備えてはいけない」と言われていたようです。夫の名前にもついている「信」の漢字はうちの子たちにもつけたんですが、それもお母さんからは「絶対入れなきゃならないわけじゃないよ」と言われていました。そうは言っても、皆さん代々この字が名前に入っているので、なくすわけにもいかないなと。名前については、子どもたちにも「信」の字を入れることは絶対ではないよと伝えて、そのあとは子どもたちの判断に任せたいと思います。
七五三の着物も、家紋が入ったものを着せましたが、これはうちに限ったことでないと思います。何かもっとわかりやすいものがあったら話しやすいんですけどね。
── 今年で結婚15年目ということですが、長年一緒にいることで見えてくる、織田さんのいいところを教えてください。
織田さん:どこにいてもムードメーカーで、一緒にいる人を心から楽しませたいと思っているところです。これは、中学で出会ったときから変わらないのですが、友達といても、家族で過ごしていても、何かしら自分で笑いをとりに行っています。家でも、いきなりおもしろいことを言ったり、変なダンスを始めたり、クラスにいる「お調子者の男子」が大人になった今も抜けてないという感じなのですが(笑)。人を楽しませて、周囲に笑顔をくれるというのは、ずっと変わらずいいところだなと思いますね。
取材・文/内橋明日香 写真提供/織田茉由