「治療する側」と「される側」どちらも経験したからこそ伝えたいこと
── 今は世界中の患者会に、ご自身も当事者として参加されているそうですね。
平井さん:当事者としても出ますし、患者会の理事としてや、スピーカーとして参加することもあります。
── ご自身が治療される立場になってみて、あらためて感じた医療現場の課題はどんなことでしたか?
平井さん:珍しい病気になればなるほど、診療科の隙間に落ちてしまう症状が多いということです。後遺症を含め、こうした疾患は患者さんが自分で動かないとなかなか解決しにくい問題になってしまっている。それは大きな気づきでしたね。
── 医師として当事者としてそうした課題意識を得られたことで、活動の幅も広がりそうですね。
平井さん:罹患するまでは「なんとなく頭ではわかっていたけど、腹落ちしていなかった問題」ではありました。ですから今はお医者さんに向けて、患者さんのそうした話を医療従事者の視点からわかりやすい言葉で伝えています。患者会としての意見をみんなで集めて「つまりこういうことに困っています」というようなことです。患者としては、みんなで知識を共有し合える空間とか、話し合ったり愚痴を言い合えたりする空間みたいなものを、患者会で作っていけたらいいなと思ってます。やはり病気になった人しかわからないことってあるんです。そして、珍しい疾患になればなるほど、話す機会ってないと気づかされましたから。そうしたことを、ライフワークとして非営利でやっていきたいと思っています。
取材・文/石野志帆 写真提供/平井麻依子