パパは「何がどう転んでも幸せでいられる人」

── 実際に始めてみて、反響はいかがでしたか。
孝輔さん:心ない言葉をかけられることはありますが、あくまでネット上のことで、リアルの場ではそういうことはありません。むしろ「おもちくん、かわいい」「手を握らせてもらっていいですか」などと言われることばかりです。ネット上で誰が言っているかわからない言葉はただの文字面だから、見たくないなら見ないということも可能です。今のところリアルではポジティブ要素しかないので、始めてよかったなと思いますね。
しほさん:コメントで、私たちがほしかった言葉をたくさんいただいています。「最初に見たときは正直びっくりして、興味本位というか怖いもの見たさで観始めたんですけど、観ているうちに普通の子どもなんだな、と思いました」とか「かわいい」「見守っていきたい」とか。そういう言葉をたくさんいただけるのは本当にありがたいし、やってみてよかったと思います。
ただ、これはやってみないとわからなかったことなんですけど、私たちが運営していないアカウントで動画を勝手に切り抜いてアップされてしまうことがあって。YouTubeで私たちの正規の動画を見てもらえば大丈夫なのですが、切り抜かれるとあらぬ誤解が生まれることがあるんですよね。たとえ切り抜いた人に悪意がなくて、応援したい気持ちだったとしても、そのコメント欄は荒れてしまうということがあり得る。これは、私たちがいくらていねいに動画を作っても起こってしまうことであって、大きな問題になる前に対策を考えないといけないと思っています。

孝輔さん:批判的な意見って、分析すると大きく2つに別れるんですよ。1つは、おもちくんの見た目に対する誹謗中傷。これは「そりゃそうだよね」という感じです。言葉にするかしないかは理性が働くかどうかの問題ですが、誰もが最初は驚くし、怖いと思う。だからこそ僕らはYouTubeをやっているわけです。見た目を誹謗中傷するような人は、リアルで出会ったとしてもいじめるようなタイプです。だから発信してもしなくても出会う可能性がある。むしろ発信することで、そういう人たちのうちの1人でも2人でも多くの人が「かわいい」と思ってくれるかもしれません。
もう1つは、意思のない子どもの動画をネットにアップすることへの批判です。これは、おもちくんというより親である僕らへの批判であって、批判している人は「おもちくんがかわいそう」と思ってくれている。つまり、僕たちと同じ目線でおもちくんのことを考えてくれているということだと思うんですよ。僕らを批判することでおもちくんの味方になってくれるなら、ありがたいことです。こうしてデメリットを分解すると、やっぱり「やってよかった」となるんです。
── パパはポジティブな方ですね!
しほさん:何がどう転んでも幸せでいられる人なんです。推進力があって、メリットとデメリットを分析して、やるとなったら100%の推進力で突き進む。いっぽうで私は、ネット上の言葉でも気になるし、引きずってしまうタイプです。だから私1人だったらYouTubeはやっていないと思いますし、パパが1人でやっていたらそれはそれで荒れると思うんです(笑)。おもちくんがパパみたいな性格に育ってくれたらいいんですけど、将来どう感じるかはわからない。おもちくんの様子をよく見て、必要なときに必要なサポートをしていきたいと思っています。
孝輔さん:僕のなかでは、妻がいるということが大きなセーフティーネットになっています。将来、万が一おもちくんが傷ついてしまったとき、妻なら寄り添えると思う。おもちくんと一緒に立ち上がれる力があることを僕は知っているので、推進力を持って突き進めるんですよね。