ひとり座りにつたい歩き…成長は「奇跡」

星野未来、星野孝輔
生後7か月。パパとお昼寝。微笑ましい光景

── ご自宅ではどのような医療ケアが必要なのですか。

 

孝輔さん:医療ケアとしては、たんの吸引、嚥下障害があるのでよだれや鼻水がひどいときは吸引、胃ろうでの経管栄養です。食事はまとめて作って冷凍しています。のどに入っている管をバンドで止めているのですが、バンドの交換は大人2人でやります。管そのものも2週間に1回、胃ろうも月1回、医師に立ち会ってもらって交換します。あとは、点眼、投薬、難聴があるので補聴器をつける、ヘルメットをつける、夜寝るときは目に軟膏をつけてラップで覆う、寝ている間は手にミトンをつける、というところでしょうか。

 

── 退院してからの成長ぶりはいかがですか。

 

しほさん:ここまで成長してくれると思っていなかったというか、本当にびっくりしています。肺がしっかり育ってくれたので、1歳1か月で人工呼吸器はほぼ卒業しました。食事のメインは胃ろうからの経管栄養ですけど、口から食べる練習もしています。10ccくらいは口から飲めるようになりました。 

 

ひとりで座れるようになったり、つたい歩きをしたり、好きなおもちゃに向かって突進していったりするなんて、病院の先生方は想像していなかったと思います。私も寝たきりの可能性を想定していたので、奇跡だと思いますし、誇りに思っています。

 

孝輔さん:そもそもほかの子と比べることはしないし、言葉が悪いかもしれないけど、期待をしていないんですよ。だから、起きたことすべてが「こんなことができたの!うれしいね」というスタンスでしかない。「なんでできないんだろう」と思うことはないですね。今の未来を単純に受け入れて喜んでいる。初めて座れたときも、初めてつかまり立ちをしたときも、コミュニケーションがとれたときも、全部「こんなことできるようになったの!うれしいね」のくり返しですね。 

 

── YouTubeを拝見すると、コミュニケーションもずいぶん上手になっていますね。

 

しほさん:今のところ声が出ていないので、どこまでコミュニケーションを取れるかはわからないのですが、理解できる言葉は増えてきています。最近は「バイバイ」をしたり、顔を触って「もちもち~」という動作をしてくれたりします。気管切開をしていても声が出せる「スピーチバルブ」というものがあるし、ハンドサインができるようなら手話を覚えてもいいし、本人のスタイルに合わせてコミュニケーションを増やしていけたらと希望を持っています。

 

 

誕生してから、2度の手術を乗り越えて退院した「おもちくん」こと未来くん。さまざまな葛藤がありましたが、ご両親は、お顔に特徴がある未来くんのことを知ってもらうためにYouTubeの配信を始めました。今では、リアルで出会った人に「おもちくん」と声をかけられることも増えてきたそうです。


取材・文/林優子 写真提供/星野しほ