「周りの人に愛してもらえるだろうか」と不安に

星野しほ、星野未来、星野孝輔
生後2か月。初めて家族全員が集合できた瞬間

── 出産の日まで、穏やかな気持ちでいられたのですね。

 

しほさん:それが…第1段階として、おもちくんに何かしらの異常があるということは受け入れられたのですが、 「周りの人に受け入れてもらえるだろうか」と今度は不安になってしまって。

 

妊娠後期に私の実家へ行ったのですが、ちょうど私の姉が第1子を出産して1か月という時期だったんです。初めて会った赤ちゃんはすごくかわいくて。姉夫婦は寝不足で白目むきながらも幸せそうで、私の父と母も初孫がかわいくてしょうがないという顔でした。すごく楽しい時間を過ごしたんですけど、思った以上に打撃を受けたというか。大学病院で言われたことは両親にも話していましたけれど、「おもちくんもこんなふうにかわいがってもらえるだろうか」と思ってしまったんです。

 

帰りの車の中で「途中から、顔が固まってたよ」とパパに言われて、「周りの人に愛してもらえるかわからない」ってワーッと泣いてしまいました。そうしたらパパが、「なんだか結婚式を思い出すな」と言ったんです。「あのときもよく泣いていたけど、最高の結婚式になったじゃん」って。

 

── 結婚式ですか?

 

しほさん:私たちは2020年6月に結婚したのですが、コロナ禍で結婚式を3回延期しました。私は結婚式にこだわりがあって、準備の一部を海外で進めたりもしていたのに、何度もあきらめて、中止したり変更したりするのがつらくて、何度か泣いてしまったんです。それでも夫は「じゃあこうすればいいね」「僕たちなら、最高の結婚式ができるよ」と、どんなトラブルのときも言ってくれました。そのときは「そんなわけないじゃん!」と言っていたんですけど、本当に最高の結婚式になった。

 

あのときと同じように「僕たちなら、最高に幸せな家族になれると思ってるよ」とパパは言ってくれて、「この人と一緒なら、そうなれるかもしれない」と思えたんです。周りの人に受け入れてもらうには時間がかかるかもしれないけれど、私たちが最高に幸せなら、少なくても私の両親はきっと受け入れてくれると思えて、またパパに救われました。パパはいつも私がほしい言葉を言ってくれるよね。

 

孝輔さん:そういうつもりではなくて、そのとき思ったことを言っているだけなんだけどね。実際に、おもちくんが産まれてからは、彼女の両親も僕の実家の家族も、すごくかわいがってくれています。しょっちゅう遊びに来てくれたり、おもちゃを買ってくれたりしてくれています。

 

 

妊娠中、しほさんが不安になるたびに孝輔さんは話を聞いて、「大丈夫」という言葉をかけ続けてくれたそうです。やがて産まれてきたおもちくんこと未来くんとの日常を、2人はYouTubeで発信し始めるように。最近は、つかまり立ちにつたい歩き、好きなおもちゃに突進するなど、産まれたときは想像もしていなかったほどのおもちくんの成長を感じているそうです。


取材・文/林優子 写真提供/星野しほ