YouTube「星のミライチャネル」で「おもちくん」の愛称で親しまれる未来くん。まぶたがなく、頭蓋骨の一部も欠損しているなど、世界的にも前例がない障がいを持って生まれました。異常が発覚した妊娠当時のお話を、ご両親の星野しほさん、孝輔さんに伺います。(全3回中の1回)

「頭部に異常が…」検索して一睡もできず

星野しほ、星野未来、星野孝輔
2歳の誕生日のお祝いの記念フォト左から星野しほさん、未来くん、孝輔さん

── 妊娠中のことをうかがってもいいですか。

 

しほさん:妊娠してしばらくは、教科書通りの成長をしていました。「何の異常もない」と。「おもちくん」という胎児ネームをつけて、産まれてくるのを楽しみにしていました。

 

「頭部に異常があるかもしれない」と初めて言われたのは、22週に入ったころです。胎児スクリーニング検査で頭の形がいびつなことがわかって、「大学病院への紹介状を書きます」と言われました。妊娠中は何が起こるかわからないですし、ネット上でいろいろな事例を目にしていましたけれど、「それがまさか自分に起こるなんて」と信じられない気持ちでした。

 

そのときにわかっていたのは「頭蓋骨がレモン型」ということだけだったので、ひたすら検索して調べました。そうしたら「二分脊椎」かもしれない、場合によっては一生歩けないし、自分で排泄ができないかもしれないと。妊婦に原因がある場合もあるという情報にもたどり着いてしまい、自分を責めて、その晩は一睡もできませんでした。朝、起きてきたパパには私がいつもと違うことがすぐにわかったみたいで「いろいろ調べたの?俺にも教えてくれる?」と言ってくれて。「こういう病気かもしれない、将来はこうなるかもしれない、私のせいかもしれない」と話しながらワーッと泣きました。「大丈夫だよ、しほのせいじゃない」とパパはひたすら言ってくれました。それが、現実を受け入れる第一段階だった気がします。それからは「赤ちゃんにストレスが伝わらないように、リラックスして診断を待つ強さを持とう」という意識に切り替わりました。

 

星野しほ、星野孝輔
妊娠9週。妊娠祝いにマタニティコース料理を堪能

── そのときの孝輔さんのお気持ちは?

 

孝輔さん:通っていた産婦人科で「大学病院で調べてもらってください」と言われていたので、僕は早まって調べることはしませんでした。結果を待って、それから考えればいいと思って。 

 

その日、朝起きたら妻は明らかに寝ていない顔をしていて。妻は思っていることを吐露して泣いてスッキリするタイプなので、とにかく話を聞きました。「将来歩けないかもしれない、排泄ができないかもしれない」と妻に言われても、落ち込むことはなかったですね。「そういう子育てもあるのかな」という感じで。「子どもが産まれたら、ああしたいこうしたい」と思うことが僕はまだあまりなかったから、臨機応変に考えられたのかもしれないですね。「そういう子なら、そういう子なりの楽しい子育てをしよう」という感じでした。

 

しほさん:最初は、パパのそのスタンスを不安に感じたことはありました。「この人、何も考えていないんじゃないか。私がこんなに悩んでいるのに」って。でも、私が落ち込むたびに「大丈夫だよ」という言葉をブレずにかけてくれて、信頼が深まっていきました。パパは何があってもどんと構えているタイプで、私が泣こうがわめこうが、笑っているんですよ。「なんで泣いているの?」って私の話を聞いてくれる。パパが変わらずにいてくれるから、私も「なんで泣いてたんだっけ?」って。いつもそんな感じですね、私たち。