芸能界にいたときより収入アップ?の真相

── なるほど(笑)。指導者としてヨガの魅力を伝えられたということですね。

 

松本さん:芸能人だからといって色眼鏡で見られたくなくて、地道に活動を続けてきたつもりです。

 

── その後、新潟に移住し、2024年には自身のスタジオを設立されました。クラウドファンディングで資金を集め、設計段階から携わったそうですね。

 

松本さん:設計から壁紙、インテリアに至るまですべて自分で決めました。クラウドファンディングで960万円の資金が集まり、不足分は自己資金で補いました。夫の故郷である新潟に移住したのは、子どもを自然豊かな環境の中でのびのびと育てたかったからです。でも、日照率が低く、全国的にも自殺率が高い傾向にあると聞きました。だからこそ、心を照らす太陽のような場所を作りたくて窓を大きく取って、光がふんだんに入る空間にしたんです。理想通りのスタジオができて、本当に幸せです。先日1周年を迎えたのですが、壁には生徒さんたちと一緒に撮った写真がたくさん飾ってあります。それを眺めているだけで胸がいっぱいになります。

 

松本莉緒
生徒さんと触れ合う時間に幸せを感じるそう

もちろん、小さな壁には毎日ぶつかっています。「もっといいサービスを提供したい」と、いつも考えているのですが、こだわりだすとキリがなくて。ただ、私は5歳の子どもがいるママでもあり、仕事ができるのは朝9時から午後2時半ころまで。限られた時間のなかで優先順位をつけながら取り組んでいます。

 

── ぶしつけな質問で恐縮ですが…出演されていた某テレビ番組で「芸能界にいたときより収入が上がっている」と、明かされていました。実際のところはどうなのでしょう?

 

松本さん:あれはですね(笑)。バラエティ番組で収入についてお決まりの質問と言いますか、「こう答えてほしい」というリクエストもありました(笑)。ただ、嘘ではなく、たしかに収入は上がりました。でも、実際はスタジオの講師代、運営費や設備費など支出も毎月かかっているので、純粋な利益で見ると、トントンというのが実情です。

 

でも、数字以上に、いま自分がいる場所にすごく大きな価値を感じているんです。子育てと仕事のバランスを大切にしながら信頼できる仲間と理想のスタジオで働ける。それが何よりうれしくて。「今日がいちばん幸せ」と毎日、実感しています。

 

 

夫の故郷・新潟でヨガ講師として活動する松本さんですが、移住の決断には5歳になる息子の子育ても影響したそう。広い園庭でイキイキと過ごす息子の姿に、「移住して本当によかった」と実感しているそうです。

 

PROFILE 松本莉緒さん 

まつもと・りお。1982年、青森県生まれ。1995年にドラマ『終らない夏』でデビュー。『聖者の行進』、『モテキ』など数多くのドラマや映画、CMに出演。2014年にヨガの国際ライセンス「RYT200」を取得し、ヨガの講師として活動をスタート。現在は、新潟に自身のスタジオ「Slow」を運営し、ヨガを通じて心身の健康を広めている。自身初のエッセイ「Real Me」執筆中。

 

取材・文/西尾英子 写真提供/松本莉緒