人生はオペラのよう「90歳まで生きる可能性も」

── 前向な気持ちを忘れずにいるために、心がけていることはありますか?

 

ミッチェルさん:知人が送ってくれた記事に「病気になっても病人になるな」という言葉があって、それを見たとき、私はこの精神で行こうと決めました。何があっても病人として生きるのはやめようと思ったんです。病気だけれど、前向きな気持ちで元気に生活を送ろうと思って、実際そうしているつもりです。

 

ミッチェル
吉本NSC同期の「今夜はブルース」の清家太浪さん(写真左)と

がんを前向にとらえることで、実際に変わったこともありました。オペラを歌っていて、表現のしかたがよりダイナミックになった、演奏が変わった、と言われます。もしかしたら、何かに遠慮することがなくなったのかもしれません。やりたいことはいっぱいあって、オペラを伝えることはもちろん、お笑いはまだまだこれからなので、「もっと頑張らなくちゃ」とも思っていいます。私がこうして元気でいられるのも、夢がたくさんあるからだと思います。

 

人生ってオペラみたいだなと感じます。オペラの物語には、悲劇の物語や喜劇の物語といろいろあるけれど、最終的にどんな人生を送るか選択するのは、自分次第だと思うんです。私のこの物語をどういう結末にするか、日々、考えながら過ごしています。ステージ4bの子宮体がんという大病をして、何か大きなどんでん返しがないと、人生おもしろくないな、なんて考えていて。もしかして、素敵な男性と結婚して、90歳まで生きたりするかもしれません。人生そのくらいの驚きがあってもいいですよね(笑)。

 

 

子宮体がんを患いながら、音楽活動やお笑い芸人活動をするミッチェルさん。いまでこそ、精力的にさまざまな活動を行っていますが、病名がわかるまでは不安に襲われ、突然ステージ4bと診断されたときも同様だったそうです。

 

PROFILE ミッチェルさん

みっちぇる。1978年7月1日生まれ、千葉県出身。吉本興業東京NSC25期。桐朋学園大学卒業。声楽講師。学校公演700校以上。小澤征爾音楽塾にて塾生としてオペラ出演。出演歴は『火曜は全力!華大さんと千鳥くん』『いろはに千鳥』『かまいったーTV』『マクドナルド公式Twitter』『TOYOTA』など。

 

取材・文/小野寺悦子 写真提供/吉本興業