お父さんと離れても溝が生まれなかったのは…
── 贅沢はしなかったとのことですが、お休みの日などはどんなところに出かけていたのですか。
新山さん:近くの公園にはよく行っていたのですが、「今日は遠出して、別の公園に行ってみよう!」とたまに言われるのがうれしかったのを覚えています。アスレチックなどの施設がついている広い公園に行くのも、小学生の私からしたら特別なお出かけで。とても楽しみにしていました。ラケットを持っていって一緒にバドミントンをしたり、泊まりで出かけたりすることもありました。子どもながらにお母さんが私を楽しませようとしてくれているのが伝わっていました。

── お母さんが仕事のときは、誰と過ごしていたんですか。
新山さん:おばあちゃんに面倒を見てもらっていました。お母さんの実家がある青森から来てくれていて、一緒に住んでいる時期もありました。おばあちゃんは絵や工作がすごく得意で。一緒に絵を描いたり工作をしたりして、お母さんが仕事の間、一緒に過ごしていました。おばあちゃんの存在はすごく大きかったです。
── 家庭でのルールや決まりはありましたか。
新山さん:約束した時間に家に帰ってくることに関してはすごく言われていました。時間を守るということにも繋がるのですが、小学生のころは防犯用の携帯しか持っていなかったので、うまく連絡も取れなくて。「時間通りに帰ってこないと心配だから、帰る時間は守ろうね」と言われていました。あとは今でもそうですが、「家族に秘密はなし」です。これは言われていたというより、暗黙のルールになっているのですが、私も何かあったらすぐに相談しますし、お母さんも私になんでも話してくれます。ちょっとしたことでも、共有したり報告したりするのは今でも続いていて、この習慣があったから、お母さんが離婚してお父さんと離れて暮らすことになっても、大きな溝が生まれなかったのかなと思っています。
お母さんはどんなに仕事が忙しくても、2人で話す時間を大事にしてくれていました。仕事で遅く帰ってきても、私が起きていたら、そこから今日あった出来事を話します。「お母さん、疲れていないのかな」と思っていたのですが、「そうだったの。それでどうしたの?」と私の言葉に興味を持って話を聞いてくれていました。
── 母と娘で一緒に番組に出演する機会も多いと思います。お母さんの仕事ぶりを間近に見ていかがですか。
新山さん:お母さんは、テレビのときも家でも性格がまったく変わらなくて。本当に、根っから明るくて元気な人なんだろうなと思います。それに、仕事をすごく楽しんでいるということも伝わってきます。バラエティ番組だったら、会話でこの空間を楽しませようとしているのも感じますし、生き生きしている母の姿を近くで見られるのがうれしいです。私はこれからダンスの道で仕事をしたいと思っているのですが、子どもの夢を応援して、自分がしたいことをさせてあげたいと思う気持ちが人一倍強いのは、お母さん自身が自分の好きなことを仕事にしていて、毎日が楽しいからなんだろうなとも思うようになりました。私も、自分も楽しみながら人を喜ばせる仕事がしたいです。
PROFILE 新山もあさん
にいやま・もあ。2006年東京都生まれ。俳優・タレントの新山千春の娘。テレビ出演やモデルとして活躍、高校卒業後の現在はダンスで活躍する夢を追いかけ邁進中。
取材・文/内橋明日香 写真提供/新山もあ