擬似「生理体験」で女性への見方が変わった
── 以前、あるテレビ番組で生理痛の体験をされています。女心を知るという意味でも、いい機会だったのではないでしょうか?
松陰寺さん:あれは本当に痛かった!微弱な電流を流す機器をつけて、生理痛を体験するという企画でした。傷みが5段階にわかれていて、いちばん弱いレベルで試したんですけど、もうその瞬間、ビリビリビリビリってなって。痛みにもいろいろな種類があって、ズキズキズキズキとか、チクチクもしたり。いずれにしても不快な痛さで、「もうムリ!」と思いましたね。「芸人だから、ちょっとリアクション多めにやってるんじゃない?」って言われたけれど、あれはマジです。
「女の人って生理中ずっとこの状態なの?嘘でしょ?これで仕事をしてんのか」と。それはヤバいなと思って。しかも僕が体験したのはレベル1です。それ以上はもうムリで、勘弁してもらいました。相方のシュウペイも体験したら、やっぱり「痛い、痛い!」って、騒いでました(笑)。

── 奥さんの気持ちがちょっとわかった感じでしたか?
松陰寺さん:そうですね。それまではわかったつもりでいたけれど、全然わかってなかったんだなと、これは機嫌が悪くなるはずだと思って。あれは本当に大変です。世の男性は、みんな1度は体験したほうがいいと思います。女性に対する思いやりも変わってくるはずだから。
最近は家のことをできるだけやるようになりました。じつはいま、2人目を妊娠していて。もう臨月で、お腹がパンパン(インタビュー後の4月16日に女の子の第2子が誕生。「妻よ、本当にありがとう。娘よ、産まれて来てくれてありがとう」と、感激の声をSNSで発信しています)。
大きいお腹を抱えているから、階段の昇り降りもしんどいし、自転車に乗れないから、保育園の送り迎えも大変です。それもあって、僕がやらなきゃと思うのだけれど、ほっといたらすべて自分でやっちゃう。頑張っちゃうんですよね。それで僕が「やらなくていいよ」と言うと、「それじゃ誰がやるの?」となる。「言ってくれれば自分がやるから」と、言うんですけど、妻にしてみれば、言われる前にやれという感じみたい(笑)。父親としては楽しみですね。女の子の予定です。上の子も女の子なので、2歳違いの姉妹になりそうです。
── 家の中に女子3人となると、これから肩身が狭くなるかもしれませんね。
松陰寺さん:そうですね。でも、子どもはかわいいから何しても許しちゃう。それに、寂しいときは犬がいるので。犬はオスで、唯一、僕の見方になってくれるはずだから(笑)。
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ポジティブ漫才が代名詞のぺこぱさん。コンビ結成から2019年の「M-1」決勝でブレイクするまでは、長い暗黒時代を過ごします。松陰寺さんのアルバイト歴は数知れず。最長は、12年間バイトした渋谷のカレー屋さんだそうです。
PROFILE 松陰寺太勇さん
しょういんじ・たいゆう。1983年11月9日生まれ、山口県出身。お笑い芸人ぺこぱのネタ作り担当。ピン芸人として活動後、2008年にシュウペイとコンビ結成。「M-1グランプリ」2019で決勝に進出しブレイク。全肯定ツッコミで人気を博す。現在のレギュラー番組に『THE 突破ファイル』『ヒルナンデス!』など。
取材・文/小野寺悦子 写真提供/サンミュージックプロダクション