いまでこそ人気芸人のぺこぱ・松陰寺太勇さんですが、結婚を決意したのはまだ売れていない6年前のこと。当時、勝負できるネタでダメなら田舎に帰る覚悟が道を開きました。そして、その後の妻との関係はというと── 。(全4回中の1回)

バイト帰りに買った花束でプロポーズも…

── 2019年12月に開催された「M-1グランプリ」でブレイクし、ポジティブ漫才で人気を博すお笑いコンビ・ぺこぱの松陰寺太勇さん。奥さんとは、まだ下積み時代にご結婚されたそうですね。

 

松陰寺さん:妻とは2019年の1月に結婚しています。その時点でもう4年くらいつき合っていて、すでに一緒に暮らしていました。お金がないときもずっと一緒にいてくれたので、彼女ならこの先、売れなくても一緒にいてくれるだろう、こんな金のない男とこれだけ一緒にいてくれるのは、たぶん彼女だけだろうと思って。


いつものように、酒屋のバイトに行った帰り道、立ち寄った花屋で手持ちの1000円を渡して「これで花束を作ってもらえますか?」と、店員さんにお願いしました。そのとき初めて知ったのですが、1000円でできる花束って、本当にちっちゃいんですよね(笑)。メッセージカードをもらって、その場で酒屋の伝票書きに使っていたボールペンでメッセージを書いて、帰宅後に妻に渡しました。メッセージ内容は「結婚してください。指輪はまたお金ができたら買います」みたいな感じだったかな。3行くらいの短いものだったと思います。直接言うのは、小っ恥ずかしかったので(笑)。

 

── 奥さんの反応はいかがでしたか?

 

松陰寺さん:急だったので、びっくりはしていましたね。でも泣いて喜ぶとか、みなさんが想像するような感動的なシーンではなかった気がします。「ついにこいつ、覚悟を決めたか」という、ある種の悲壮感が漂っていたというか…。

 

ぺこぱ
コンビ結成当時の若々しいぺこぱのおふたり

というのも当時、所属していた事務所のバラエティ部がなくなって、意図せずフリーになってしまったんです。ただ、ポジティブ漫才のいいネタができて、お客さんにもめちゃくちゃウケる。ライブはすごく充実していた時期でした。

 

『ぐるぐるナインティナイン』の「おもしろ荘」で優勝できたのも、そのネタがあったから。自分でもこのネタいいなと思っていて、だからこそ「このネタでダメだったら、マジでもうムリだな。田舎に帰ろう」という覚悟を決めていて。それが妻にも伝わったんだと思います。実際に食えないままだったら、妻を連れて田舎に帰るつもりでしたから。