「自分専属のヘアメイクになれ」

── 化け子さん流メイクのポイントは何でしょうか。

 

化け子さん:必要以上にキレイに見せるために、自分のよさを捨てて理想の姿を追い求めるのは違うと思っていて。その人らしさを活かすメイクを心がけています。女優さんだって、その人ができないような役はオファーされません。基本的に、本人のキャラクターありきなんです。YouTubeで一般の方にメイクするときも、普段着ている服や、好きな女優さんのタイプなどを聞いて、その人の好みや価値観を汲み取りながらメイクをしています。

 

YouTubeでは40代以上のさまざまな悩みに細かく応えている

── 自分は何が好きなのか、考えながら取り入れていくことが大切なんですね。

 

化け子さん:私の動画を観て「真似してやってみよう」って思ってもらえるなら、それがいちばんだと思います。自分で考えて試してみないと似合うかどうかもわからないし、似合わなかったとしても別のやり方をすればいいだけ。メイクをするときは自分の価値観や好みを大事にしてもらいたいなと思うんです。人がいいっていうものに惑わされていると、自分がかわいいって永遠に思えないですから。

 

メイクを正解か不正解かでジャッジしてしまう人が多くて、「私はブルーベースだから、この色しか似合いません」って決めつけちゃう。それはわかりやすい基準ではあるけれど、自分が喜んでいるかどうかを度外視するのはもったいないなって。情報に左右されないで、もっと「自分の心」にフォーカスしてもらいたいなと思います。

 

化け子
58歳には見えない、若々しい印象の化け子さん

── たしかに自分の好きな色でメイクすると、心がときめきます。

 

化け子さん:「自分専属のヘアメイクになれ」と私はよく言っているんです。私が女優さんの100%味方でいたように、自分の心に寄り添って、満たしてあげるメイクができることが大事。たとえばスキンケアなら、「肌は絹豆腐だ」と思って触れるとか。自分を優しく扱うことで、肌のコンディションも変わってきますから。40代~50代になると、肌がくすんでいるし若くないからとベージュのチークを選びがちですが、余計肌をくすませる原因に。大人こそ自分に似合う「かわいいピンク」を選んでみてください。疲れた顔も明るくイキイキします。

 

そうやって自分でメイクしてみて、「今日の私、かわいい」って思える感覚を育てることが最重要ポイントです。そうすると、心から自信を取り戻せるし、笑顔が出てくる。やっぱり笑顔に勝るメイクアップはないですから。

 

PROFILE 化け子さん

ばけこ。本名・岸順子。1966年、岡山県岡山市生まれ。現役のヘアメイク職人として芸能界で35年以上にわたり活躍を続け、トップクラスのベテラン女優から数多くの指名を受けている。そのキャリアを活かして54歳でYouTubeチャンネル「ヘアメイク職人_化け子」を開設。加齢の悩みを解消するプロのテクニックをわかりやすく解説し、登録者数は40万人を超える。今年6月に5冊目の書籍『化け子のオキテ。』(主婦と生活社)を上梓。

 

取材・文/小新井知子 写真提供/化け子