40万人超の登録者をもつ人気YouTuberで、大物女優を数多く担当する現役ヘアメイク職人である化け子さん(58)。20年にわたり専属で担当していた故・野際陽子さんとの忘れられない思い出があるそうです。(全3回中の1回)

野際陽子さんとの初仕事は『ガラスの仮面』

── 野際陽子さんの専属ヘアメイクとして長年活躍され、現在も有名女優を数多く担当していらっしゃいます。お仕事を始めるきっかけは何でしたか。

 

化け子さん:美容学校を卒業して21歳で入ったのが、ドラマや映画のヘアメイクを担当しているヘアメイク事務所だったんです。事務所の社長で私の師匠にあたる方が、三田佳子さんや加賀まりこさん、大原麗子さんといった大御所女優の専属ヘアメイクを担当していて、師匠のアシスタントとしてついていくことからスタートしました。ドラマの現場で仕事をしていくなかで、人気女優さんから指名をいただくようになって。1人でやっていける力がついてきた30歳のときに事務所が解散することになって独立し、声をかけてくださる女優さんの仕事を直接受けるようになりました。

 

化け子
ヘアメイク事務所に所属していた27歳のころ。愛猫と一緒に

── ドラマの撮影中、ヘアメイクさんは女優さんと長く時間を過ごしますよね。その日の気分やコンディションを察知してケアするのもお仕事のひとつなのでしょうか。

 

化け子さん:そういう面はありますね。あくまで作品の中の役割として俳優がいて、ヘアメイクは俳優をその役にするための仕事。なので、こちらの都合で俳優のコンディションを乱さず、気分よく撮影に送り出すのが自分の役目だと思っていて。どの女優さんに対しても、「私は完全にあなたの味方ですよ」という立場でそばにいるようにしています。

 

ドラマや映画のメイクは役柄があるので、女優さんをキレイにするばかりが正解ではない。かといって女優さんが嫌だと思うようなメイクは絶対しません。どういう方向に持っていくか、ご本人の気持ちを察して相談しながらやっています。そういうあんばいも難しいんですけれど。

 

── 野際さんとはどのぐらいの年月ご一緒されていたのでしょうか。

 

化け子さん:約20年です。ドラマでは『ガラスの仮面』(テレビ朝日系、1997年放送)以降を担当させていただきました。その間に出産や育児があったので、担当をはずれた時期はありますが。

 

化け子、野際陽子
30代のころの化け子さん(右から3番目)。野際陽子さん(右から2番目)、ライターの森綾さん(右から4番目)と仕事でパリに行った際の1枚

──『ガラスの仮面』といえば、月影千草役の野際さんのケロイド状に焼けただれた顔のメイクも化け子さんが手がけられたそうですね。驚きました!

 

化け子さん:当時は特殊メイクがついてなかったので、私が担当していたんです。濡らしたオブラートを顔に貼って凹凸を出したりして、頑張って作っていましたね。

 

野際さんはいつも高いヒールを履いて颯爽と現場にいらして、本当にカッコよくて。プライベートではスキーが趣味で、それに私も一緒に連れて行っていただいたり、バーベキューに呼んでいただいたりしていました。