売り手市場が続く現在、毎年GW明けに退職を希望する方が増える傾向にあるそうです。新入社員が入社後すぐに辞めてしまうケースが相次ぐなか、退職の意思を本人に代わって企業に伝える退職代行モームリを運営する(株)アルバトロスの川又志織さんに、「なぜ辞めたいのか」「どうしたら働き続けられる会社になれるのか」、お話を伺いました。
いまだにハラスメントが横行している現実
── 毎年、GW明けに退職代行の依頼が増えると伺っています。その理由はなんでしょうか。
川又さん:長期休みを挟むと依頼が増える傾向があります。その理由としては、春に入社したけれど、GWにまとまった時間が生まれたことで、「やはり自分には向いていないのではないか」「辞めて別の仕事をした方がいいのではないか」と考え直し、GW明けに退職の依頼をいただくことに繋がっているようです。1月のお正月休み明けにも、同じ傾向が見られます。

── 退職代行サービスに依頼をする方が多い世代について教えてください。
川又さん:20、30代の若い世代の方がもっとも多く、全体のおよそ8割を占めています。とはいえ、若い世代だけのサービスではありません。最高年齢では84歳の方からご依頼をいただき対応した実績もございます。
── 退職に関する相談が集中する時間帯はありますか。
川又さん:退職に悩まれている方というのは、早朝や深夜に相談をされたい方が多い傾向にあります。弊社では24時間365日対応できる環境を整えておりまして、特に18時以降から22時ころ、朝6時から8時ころまでの、自宅にいらっしゃる時間帯に相談や依頼が集中する傾向にあります。
── どういう方が退職代行サービスを利用しているのですか。
川又さん:業務環境やハラスメントに悩まれていて、辞めたいけれど会社に言い出せないというご依頼のほか、退職を伝えてみたものの引き留めや先延ばしされたというご依頼も多いです。退職の理由については、ハラスメントが多い印象で、男性の上司から女性がハラスメントを受けている、または女性の上司から男性がハラスメントを受けているケースです。
飲み会の席や仕事中で圧力をかけられるパワハラや、後ろから抱きつかれたり、胸を揉まれたりするといったセクハラも実際にありました。必ずしもハラスメントは上の立場の方から受けるものではなく、若い方が年上の方に「なんで仕事ができないのか」と圧力をかけてくるという相談も見受けられます。
── ハラスメントに関しては世の中に認識が広まっていると思っていたのですが、実際にはまだまだ起きているんですね。
川又さん:おっしゃる通りで、私たちもこのご時世で、実際にこんなことが起きているのかという驚くべき理由を伺うことがあります。3万件以上のケースを対応させていただいておりますが、職場環境や人間関係、労働環境において、悩まれていることは本当に人それぞれだという印象です。