「そんなん逆効果や」ひろばの先生が学校へ

なんこ
不登校時代、紅葉の名所へ。モデルらしい表情やポーズを自然にするように

── 学校へ行けるようになるまでの経緯を教えてください。

 

有理子さん:休み始めたころは、担任の先生が毎日家まで迎えに来てくださったのですが、なんこは「行かない!」と泣いて叫んで。そのことをひろばの先生に話したら「そんなん逆効果や」と、学校へ話をしに行ってくださったんです。学校との連絡が途絶えるのはよくないから、課題のプリントをポストに入れてもらって、なんこがプリントをやったらまたポストに入れておくということも、ひろばの先生が提案してくださいました。

 

なんこさん:学校へ行かなくてよくなったのはうれしい反面「勉強についていけなくなったらどうしよう」という思いがあったので、先生が届けてくださったプリントをやっていました。

 

有理子さん:親としても「勉強が遅れるな」と思うことはありましたけど、無理してやらせてそれがまたストレスになるくらいやったら「小学生やからそのうち追いつくかな」と楽観的に考えるようにしていました。

 

なんこさん:5年生になったら、担任が1年生のときの担任の先生になったんです。最初は「1時間だけでもいいからおいで」と言ってくださって、だんだん2時間、3時間と増やしていって、5年生の秋ごろから普通に行けるようになりました。「先生がせっかく私に来てほしいと思ってくれているのだから、行かなくちゃな」という気持ちでした。

 

有理子さん:先生に上手に導いていただいた感じですね。

 

── 不登校へのアプローチとしては、理想的だと感じます。

 

有理子さん:不登校の経験で、私も学ばせてもらいました。私は皆勤賞レベルで学校が好きだったし、自分が受けた教育は「我慢は美徳、つらいことにも耐えてこそ」というものだったので「何、甘いこと言うてんねん!」と言いたくなる葛藤はあったんです。けれど、そう言ったところで学校へ行けるようにはならないこともわかっていたので、こらえて。父親も内心は「なんで行かへんのや」という気持ちはあったと思いますけど、こちらに任せてくれていました。

 

ひろばの先生は「本人の気持ちを受け入れて対応していたら、いつか自分から外へ出て行けるタイミングがやってくる」とおっしゃいました。「ほんまかいな」と思ったこともありましたけど、結果的には行けるようになったので、先生の言うことは正しかったと思います。本人の気持ちを解放させて、気が向くまで待つというやり方が、結果的にはこの人には合っていたんでしょうね。

 

なんこさん:不登校もある意味、いい経験だと思います。いやいや学校へ行って、あとあと心の病気になってしまったりするくらいなら、家にいるほうがいいのかなと思います。学校は絶対に行かなくちゃいけないというわけではないと思うので。

 

ただ、私は勉強に追いつけなくて中学生になっても成績が悪かったので、あのときちゃんと行っておけばもう少しましだったのかも、とも思っています。