「人生に勇気は不要?」思っているだけはもったいない
── とはいえ、誰しも機嫌が悪いときもあれば、悩みを抱えて笑えないときもあるはずです。そんなとき、どうやってご自分の機嫌をとっていますか?
萬田さん:ちょっとの悩みはグチを聞いてもらったり、アドバイスをしてもらったりもします。ただ本当に大きな悩みを抱えているときは、人に言っても仕方がないと思っているので、たいてい自分で解消しますね。自分の機嫌のとり方もいろいろあって、たとえばプールやジムに行って身体を動かしたり、ショッピングに行ったり、映画を観たり。ひとりで何かしら気分転換するようにしています。
14年前にパートナーが亡くなってからは、習い事が増えました。彼との時間を埋めようと、この時間を何とかしなければという気持ちがあったのだと思います。お茶(茶道)はもう10数年続けていて、5、6年前からは新たにボイストレーニングを始めました。ボイトレにはものすごく発見がありました。声帯は筋肉であり楽器であると教わって、声の出し方をこんなに簡単に考えていたんだという気づかされて。なんにせよ、習い事はいいですよね。それで世界も拡がるし、没頭するうちに悩みを忘れられることもあるから。
── ただ、新しいことに挑戦するのって勇気がいりそうです。年齢を重ねてくるとなおさらです。
萬田さん:誰にも迷惑かけることではないし、どんどんやればいい。興味があるものがいっぱいある人って素晴らしいなって思う。やりたいことがないっていう人は、もったいないなと思っちゃう。そんな人は、とりあえず、ちょっとでもおもしろそうだと思うことを書き出してみるといいかも。そうしたら「こんなことがやりたかったんだ」って、気づくかもしれない。何にしても遅すぎるということはないから、おもしろそうだと思ったらまずやってみる。明日やろうはバカ野郎!
私のモットーは「人生楽しみましょう!」。少しでも気になったら即実行。歌舞伎を観たいと思ったら行くし、旅に出たくなったらGO!気になる習いごとがあったらトライアル。本当に人生って、長いようで短いですから。「おもしろそうだけど、でも…」って、ためらっているうちに人生終わっちゃいます。羨んでいる時間なんてないでしょ、って思うのよね。
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萬田久子さんがこの世界の扉を開けたのは、叔母の勧めで応募したミス・ユニバースの日本代表からでした。その後、朝ドラでの準主役など瞬く間にスターダムに。ただ、当時は演技の世界に迷いがあったそう。いまでも第一線で活躍する俳優業への覚悟が決まったのは、ニューヨークで出産した後のことだったそうです。
PROFILE 萬田久子さん
まんだ・ひさこ。1958年4月13日生まれ、大阪府出身。1978年にミス・ユニバース日本代表選出され、1980年NHK連続テレビ小説『なっちゃんの写真館』で俳優デビュー。テレビ、映画のほか、CM、ファッション誌などでも活躍。著書に『萬田久子 オトナのお洒落術』(講談社刊)。Instagram(@hisako.manda_official)では、仕事やプライベートについても情報発信を行なっている。
取材・文/小野寺悦子 写真提供/グランパパプロダクション