「この人しかいない!」と慌ててプロポーズを

寺田ユースケと妻
結婚式のときの記念の1枚

── 奥さんとは最初、どのように出会ったのですか?

 

寺田さん:ヒッチハイクの旅をしようと思い立ったころに、友人が自主映画の撮影会を開くというので観に行ったら、スタッフとして手伝いをしていたのが妻でした。その映画『DON'T STOP!』は、たまたま車椅子を題材にした作品で、しかも車椅子でアメリカ大陸横断する男性が主人公だったんです。そこで妻に「僕もヒッチハイクで日本を旅しようと思っているんだ」という話をしたところ、プロジェクトのメンバーになってくれて、旅の後半は撮影しながら一緒に旅してくれるという展開に。それならば結婚を前提におつき合いしてくださいと僕からプロポーズして、出会ってから1年も経たずに結婚しました。

 

── 結婚の決め手は何だったのですか?

 

寺田さん:車椅子のこと、障がいのことを最初から受け入れてくれましたし、僕とこれだけ一緒に過ごしても自然体だった人が初めてだったので「この人しかいない」と思いました。ほかの人に取られる前に結婚を申し込まないと!と焦りましたね。

 

ヒッチハイク中に「寺田家TV」というYouTubeを立ち上げて旅の様子を配信し、そのうち、障がい者の方をゲストに招いて普段は聞けないようなディープな話を聞くという配信も始めました。障がい者の夜の事情について切り込んだ動画は90万回近く再生されましたね。2020年には息子が生まれ、子育てのことなども考えて東京から妻の実家がある長野へと移住し、普段の生活の様子なども配信して「寺田家TV」の登録者数は10万人を超えました。

 

 

お笑い芸人、ホストを経てYouTuberになり、人生のパートナーと巡り合った寺田さん。しかし子どもが生まれると車椅子での子育ては想像以上に大変で、大人になってからはASD(自閉スペクトラム)やADHDの傾向があることにも気がつき、新たな壁にぶつかります。

 

PROFILE 寺田ユースケさん

てらだ・ゆーすけ。1990年名古屋市生まれ。YouTube「寺田家TV(チャンネル登録者 約10万人)」を運営。先天性の脳性まひのため、首から下が不自由。関西学院大学卒業後、お笑い芸人とホストを経験する。車椅子を押してもらいながら47都道府県を旅する「車椅子ヒッチハイクの旅/HELPUSH(ヘルプッシュ)」を実行後、現在は妻と息子と長野県で暮らす。ユニバーサルツーリズムに関する新規事業「MinQ(みんきゅ~)プロジェクト」の活動に尽力中。

取材・文/富田夏子 写真提供/寺田ユースケ