脳神経外科医でファッションデザイナーとしても活躍するDrまあやさんは、医師として勤務中に腹部に激痛が走り、入院を余儀なくされます。医師でありながら手術を受ける経験をしたことで、患者側のつらさと苦しみも実感したと言います。(全3回中の3回)
胆石だけでなく、卵巣腫瘍も偶然発見して

── かつて胆石と卵巣の病気を経験されていらっしゃるそうですね。あらためて詳しく伺えますか?
Drまあやさん:最初に胆石が発覚したのは2015年です。毎週末に勤務している釧路の病院で当直中に、右腹部の肋骨の下辺りに激痛が走りました。明け方、痛み止めを打って東京に戻り、午後から別の病院で外来診療を行っていたのですが、その最中、再び激痛が…。結局そのまま入院することになりました。検査の結果、2センチほどの胆石と砂状の石が胆嚢に沈殿していることがわかり、胆のうの切除を薦められたんです。ただ、緊急を要するようものではないから、「仕事の状況を見ながら決めてもいのでは?」と言われ、1年ほど放置していました。
── 1年も、ですか?
Drまあやさん:当時、デザイナーの修行のために、スタイリストのアシスタントをしながら、脳外科医としても働いていたので、ものすごく忙しかったんですね。ただ、3か月に1回くらい発作が起き、その都度、悶絶するような痛みがあってつらかったです。痛みが起こるのは、基本的に食後ですね。脂肪分を分解するために、胆のうで作られた胆汁が出るのですが、その瞬間、石が一緒に出てしまうことがあるんです。その石が胆のうを詰まらせることで痛みが起こります。それがしょっちゅう起こるのでその都度、痛み止めを打ちながら様子を見ていました。温泉旅行で静岡県の伊東に行ったときに、発作が起きて市民病院に駆け込んで痛み止めを打ってもらったんですが「なぜ早く手術しないんですか?」と怒られ、手術を決意しました。
ただ、そのときの検査で骨盤部の画像に「卵巣腫瘍」が映っていたんです。
── 偶然、見つかったのですね。
Drまあやさん:そうでしたね。ただ、症状はなかったし、おそらく良性腫瘍だろうと高を括っていたんです。でも同世代の女医さんに「婦人科で精査してもらったほうがいい」と勧められ、MRI検査をしたところ「卵巣がんの疑いがある」と言われました。医学部で勉強していたので、5年生存率が低いことを思い出し「これはまずいな」と。「もしかして私、死んじゃうのかな」と思って怖くなりましたね。命にはリミットがあることを、あらためて痛感しました。
どうせなら胆石の手術も一緒にお願いしたいと思い、先生に相談し、外科の先生が腹腔鏡で胆のうを切除してから、婦人科の先生にバトンタッチして、卵巣の開腹手術を行うことになりました。私は太っているので、硬膜外ブロックの麻酔をするときに、脂肪が邪魔をして、一般的な針だと硬膜外まで届かない。そこで、麻酔科の先生と相談し、海外から長い針を取り寄せてもらいました。