高齢の親だけの暮らしが終焉を迎える前に、実家の大々的な片づけが必要になるときがくる──そこで今、注目を集めるのが「生前整理」です。とはいえ、いったい何から手をつけたらいいのかわからない人も多いはず。そこで、「お片づけブラザーズ」の代表で、芸人としても活動している柴田賢佑さんに「生前整理の心得」について聞きました。(全2回中の2回)

遺品整理の準備としての「生前整理」

── 実家を自分たちで「生前整理」する場合に、気をつけることはありますか?

 

柴田さん:まず、住んでいる以外の親族も、どこに何があるかがわかる状態にすることが必要です。特に大切な書類関係ですね。先に整理をしておけば、遺品整理のときに大事なものだけを残すことができるので1、2日程度で終えられて費用が抑えられる。だから、生前から準備しておくのが大事なんです。

 

お片づけブラザース
生前整理をはじめ、さまざまな家の片づけをサポートしている「お片づけブラザース」。いちばん右が柴田さん

── とはいえ、親が元気なときにものを処分するのに抵抗がある人も多いと思います。

 

柴田さん:もし、子ども世代が段ボールの荷物を整理せずに適当にしまったとしたら、そのまま誰も開けない可能性は高いですよね。それがそのまま、次の代では遺品になってしまいます。自分たちの代から積極的に生前整理をすることが、次の世代にとってのスムーズな遺品整理になると思えば、処分がしやすくなると思います。

 

── どの世代にとっても、片づけで特に苦労するのは本や服の整理だと思うのですが、どう整理したらいいのでしょうか。

 

柴田さん:本も服も、日ごろから優先順位をつけておくことが大事です。よく読む本は本棚の上段、たまに読む本は下段という感じで、一軍、二軍にわけるんです。新しい本を買って気に入ったら、一軍と入れ替えるという作業を習慣にするといいですね。服の場合は8着程度あれば十分。最低限のローテーションで回して、一軍から落ちた服は部屋着にする。このルールに慣れてしまえば、それほど苦もなくできるようになるはずです。

 

4人家族だったころの名残が残ったままの食器棚。子どもが巣立った時点で使うぶんだけにしたほうがいい

── あとは食器類。かさばるし、割れない限り処分しづらいですよね。

 

柴田さん:食器類は業者にとっても課題が多いアイテムなんです。食器は基本的にあまり汚れていないので、捨てづらい。でも買取などでは値がつかない。僕が聞いたケースでは、食器の無料引き取りサービスを利用したら、食器を引き取るどころか「貴金属はありませんか?」と言われたそうです。立派な食器棚があっても、老夫婦ふたりであれば食器の枚数はそれほど必要ないですよね。ハイブランドのものでなければ、無理をしてとっておく必要はないと思います。