実家の貴重品をめぐりきょうだいで揉めるケースも
── これまでで困ったケースはありましたか?
柴田さん:きょうだいがいる場合は、相続や財産分与が明確ではないと「誰が実家を片づけるのか」で揉めることがあります。実際、実家近くに住むきょうだいが片づけを始めたものの、貴金属や貴重品がまったく見当たらない。不審に思っていたら、実は合鍵を持っていた別のきょうだいが、片づけに入る前に貴重品だけ持ち去っていたということがありました。ゴルフ会員権などは返金すると100万円くらいになることがあります。そういった換金やリユースできるものが出てきた場合、片づけを担ったきょうだいが多く配分されるような取り決めにしておけば、揉めないで済むはずです。

── 遠方に住んでいるきょうだいがいる場合はどうすればよいでしょうか。
柴田さん:実際にあったのは、きょうだいから事前に「全部処分していい」と言われていたのに、出てきたものの写真を撮って送ると「やっぱり取っておいて」と頼まれ、どんどん手間と時間がかかってしまったケース。きょうだいがなるべく同じ日に実家に集まって、「これだけは残しておいてほしい」というものを決めておく。同じ日に来られない身内がいるなら、写真よりも動画を撮って送るのがおすすめです。業者と話しながら、「ここは残します」というやりとりなどを動画で撮って送ると伝わりやすいと思います。
── 最近では、80代の親が50代の子どもの生活を支えるという「8050問題」が取りざたされています。
柴田さん:独身の40〜50代と、高齢の親のふたり暮らしの場合は、親が亡くなってしまうと一気にゴミ屋敷化してしまいますね。そうならないためには、親が亡くなる前に動き出す必要があります。でもこういうケースって、親子ともに気難しい場合が多いんです。相続税が払えないとか、行政が動き出して家を任意売却されるくらいまでいかないと片づかない例もあって…難しい問題です。