業者に依頼する場合、いちばん重視すべきは

── 実際に生前整理を業者に依頼する場合はどんなポイントで選べばいいでしょうか。

 

柴田さん:片づけサービスを扱う業者自体が増えているので、複数の業者から見積もりを取るといいと思います。選ぶ際にいちばん見てもらいたいのが、人柄。料金よりも作業を行う人を見てください。家の中に入ってものを選別するのは、すごくデリケートな作業。貴重品が見つかることもあるので、細かい質問にもきちんと答えてくれる誠実な業者に任せたほうがいいです。

 

やめたほうがいいのは、家の中をサッと見てすぐに見積もりを出す業者。そういう業者に頼むと、整理のときに「これは必要」「これはいらない」という仕分けをきちんとやってくれない場合が多いんです。見積もりは「この作業をやると金額はこうなる」という形でプランを何パターンか提案してくれる業者がおすすめです。あとは、ファーストインプレッションが大事。なんとなくイヤだなって感じたら、やめたほうがいいと思います。そこは妥協せず、じっくり選んでください。

 

柴田賢佑
「お片づけブラザーズ」として活動する柴田さん(右)

── なるほど、人柄が大事になってくるのですね。

 

柴田さん:あとは「ほかの業者はどうでしたか?」と聞いて、見積もりを下げてくる業者も要注意。僕らはギリギリの価格を提示しているので、それで無理な場合はごめんなさいという感じなのですが。「ほかよりも下げますよ」という業者は、作業で手を抜く可能性がある。最終的に荷物選別の際のていねいさを取るか、コストを取るかは、依頼する側の判断次第です。 整理する荷物の内容をだいたい把握していて、基本的に処分する予定なら、安さ優先でも問題はないですが。費用を減らしたいなら、日ごろからものがどこにあるかを把握しやすい家を心がけるといいと思います。

 

── 事前に片づけておくことで、業者の費用は変わりますか?

 

柴田さん:業者に頼む前に自分たちで片づけても、費用はあまり変わらないと思います。むしろ、粗大ゴミを自分で出せるのなら、業者は頼まなくていいですよ。それと、業者に頼むなら下手に荷物は梱包しないこと。市区町村でゴミの分別方法が違うので、せっかく詰めた段ボールを再度開けることになってしまいます。業者に頼むなら、基本的には何もしないで業者に任せるのが最善の方法ですね。

 

PROFILE 柴田賢佑さん

しばた・けんすけ。1985年、北海道出身。2007年、お笑いコンビ「六六三六」を結成し、お笑いライブ出演を軸に活動。現在は「お片づけブラザーズ」を立ち上げ、生前整理、遺品整理、ゴミ屋敷の片づけなども行っている。著書に『ごみ屋敷ワンダーランド 清掃員が出会ったワケあり住人たち』(白夜書房)がある。

 

取材・文/池守りぜね 写真提供/柴田賢佑