「美しすぎるバレーボール選手」としてV・プレミアリーグなどで7年間プレーし、現在はパーソナルトレーナーとして活躍している滝沢ななえさん。現役引退後にレズビアンであることをカミングしましたが、自身の性的指向に気づいたのは意外なきっかけでした。(全2回中の1回)
男性とつき合うも「好き」と言ったことはなかった
── 現役時代は「美しすぎるバレーボール選手」と呼ばれていました。その言葉をご自身ではどう感じていましたか?
滝沢さん:女の子っぽい感じではけっしてなかったんですが、性自認は女だったので、自分の性別が女性であることに違和感はありませんでした。だからそういった言葉にも拒否感を覚えるようなことはありませんでした。「美人すぎる」という言葉には違和感がありましたけれど、周りが勝手に言っているなというくらいの感覚でしたね。

── ご自身がセクシャル・マイノリティだと気づいたのはいつごろだったのでしょうか。
滝沢さん:実は高校生のころからなんとなく周りの恋愛話にはついていけないと感じていました。たとえば、友達は彼氏ができるとウキウキして、彼氏といつも連絡を取り合いたいとか、少しでも時間があれば会いたいという気持ちになっていました。でも、私も男性とおつき合いしたことはあるんですが、そういう気持ちが全然、芽生えなくて。別に会わなくてもいいし、連絡もそんなに頻繁に取らなくてもいいし…みたいな。だから男性とおつき合いしたときも、私から「好きです」「つき合ってください」と言ったことは1度もありませんでした。
── それでもおつき合いされたのは、その気持ちが変わるかもしれないという思いがあったからですか。
滝沢さん:そうですね。最初は相手に対してそんなに気持ちがなくても、つき合っていくうちに「好き」という恋愛感情が増してくるのかなと思っていました。でも、実際はそういう気持ちが全然、湧いてこなかったんですよね。
── 違和感を抱いたり、悩むことはあったのでしょうか。
滝沢さん:悩むというよりも、当時は「自分は恋ができないタイプなんだろうな」くらいの認識でした。きっと感情が生まれにくいタイプなんだって。当時、レズビアンという言葉を知ってはいましたけど、まだ自分のなかでは女性とつき合うという発想はなかったですし、恋愛は男性と女性がするものという固定観念がありました。