20年ぶりに長期で休むことになって気づいたこと

── 休業期間はどのように生活をしていましたか?
益若さん:息子は中学の寮に入っていたので学校が休みのときは手伝ってくれましたが、それ以外は、友達の家にしばらく泊めてもらってお世話になりました。友達がご飯を作ってくれましたが、ほかの友達や友達の家族もかわるがわるやってきて、みんなに助けてもらいました。
── お友達に恵まれていらっしゃいますね。
益若さん:みんなが言うには「(私が)今までいろいろやってきてくれたから、逆に恩返しできてうれしい」って。私はもともとご飯を作るのが好きで、みんなによく料理をふるまったり、友達がお金がないときは晩ご飯をごちそうをしたり、悩みを朝まで聞いたり家に泊めることがあったりと、自分が好きでやっていただけなんですよ。でも、こうして自分が困っているときに返ってくることがあるんだなって、すごくびっくりしました。
── 何かあったときに、相手との関係性が見えることもありそうです。
益若さん:改めていい関係を築いてきたんだなって思える人が多くてうれしかったですね。いっぽう、デビューして20年、ずっと走り続けてきたからこそ見えなかった人間性がわかったこともあります。要は、私をお金や商品としてしか見ていなかった人もいて、ケガによっていろいろ考えたし、頭を整理することがありました。
── 休業することで不安を感じることはありましたか?
益若さん:それは意外となかったですね。人によっては長期間休むことで自分の存在を忘れられてしまうんではないか、と心配する人もいるみたいだけど、そこはあんまり気にしていなかったような。むしろどっちでも大丈夫、仕事はかなり頑張ってきたけど、今までやれるだけのことはやってきたから、なるようになると。意外と肝が据わっていたんだな、と気づきました。
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骨盤の治療を進めながら、翌年の仕事復帰に向けて準備を進めていた最中、同年12月に今度は帯状疱疹を発症した益若さん。その痛みは出産、骨折に次ぐほどだったと言います。医師から「失明の危険」も指摘されたそうですがどうにか回復し、23年2月の映画『翔んで埼玉』で復帰を果たしました。
PROFILE 益若つばささん
ますわか・つばさ。1985年埼玉県生まれ。『Popteen』の読者モデルとしてブレイク。現在はモデル業のほか、アパレルや美容関連商品のプロデュースも行う。1児の母。
取材・文/松永怜 写真提供/益若つばさ