手術で左右の胸を全摘出。涙声のデーブにわざと…

京子スペクター
術後1か月の京子さん

── どのような気持ちで、手術に臨まれましたか?

 

京子さん:これまで大きな手術を経験したことはありませんでしたが、乳がんの摘出手術に対する恐怖や不安はなく「早くがんを取り除いてほしい」という気持ちで臨みました。いざ看護師さんに連れられて、手術室に入るときは「いよいよだ」という緊張感がありましたね。

 

── 手術当日、デーブさんは病院に立ち会っていたのでしょうか。

 

京子さん:夫は大阪で生放送があったため、立ち会うことはできませんでしたが、仕事が終わるとすぐに病院まで駆けつけてくれました。

 

病室に入ってきた夫は、ベッドに横になっている私を見て、しばらく黙った後で「大丈夫?」と声をかけてくれました。でもその声が泣きそうに震えていて…。手術直後で点滴やチューブに繋がれている様子に「耐えられない」という感じでした。

 

── 京子さんはどのような返答を?

 

京子さん:夫の様子を見て、悲しませないようにとわざといつもより明るい声で「もう大丈夫。痛くないし、悪い部分が取れてスッキリした」と伝えました。夫は強い人なので、泣くことはほとんどありません。だから気弱な夫を見たときに、「励まさなきゃ」という気持ちになれたんです。

 

 

無事に手術を終えた京子さんが、退院して自宅に帰ると、デーブさんが医者のコスプレをして出迎えてくれたそう。それまでコスプレなどしたことがなかった夫が、笑顔にしようという気持ちが伝わってきて、その心遣いがうれしかったそうです。

 

PROFILE 京子スペクターさん

きょうこ・すぺくたー。(株)スペクター・コミュニケーションズ代表取締役。高校卒業後に渡米し語学を学んだ後、ロサンゼルスのホテルに勤務。その後、デーブ・スペクターと出会い、結婚。帰国後に会社を設立し、テレビの企画やプロデュースなどを手掛けるなど、幅広く活躍する。現在、アルバニア共和国名誉領事を務める。

取材・文/佐藤有香 写真提供/京子スペクター