細木数子さんの姪として育ち、後に養女となった細木かおりさんは、35歳になったころ、数子さんから「跡を継いでほしい」と言われます。後継者になるまでの葛藤と、数子さん亡き今、どのように占いと向き合っているのかを伺いました。(全3回中の3回)

「跡を継いで」ある日突然「後継者」に指名されて

細木かおり、細木数子
数子さんとのツーショット

── 数子さんは、以前からかおりさんに跡を継いでほしいと考えていたのでしょうか。

 

かおりさん:私が小さいころから「かおりを養女にほしい」と言っていましたが、それが「後継者」としての意味合いかどうかはわかりません。私が結婚して子育てに奮闘している時期は「仕事を手伝いなさい」とか「跡を継ぎなさい」などと言われたことは一度もなくて…。母(数子さん)が「跡を継いでほしい」と言ってきたときは、「冗談だろう」と思いました。

 

── 数子さん自身が、引退を考え始めたということですね。

 

かおりさん:そうかもしれません。当時の母は70半ばでしたからね。少し前に、母から「一緒に暮らしてほしい」と言われていて、家族と母の家に引っ越して同居生活も始めていたので、引退後の生活をすでに意識していたのだと思います。私が養子縁組をしたのも、この時期のことでした。

 

── 名実ともに「母と娘」になったのですね。その後、数子さんからのオファーにはどのように答えたのですか?

 

かおりさん:「後継者は無理だけど、仕事面ならサポートできる」と、母のマネージャー業務を引き受けることにしました。しばらくは、母の仕事の調整などを行っていたのですが、ある日、母がお客さまを鑑定するための個室に、私も一緒に同席することになりました。その個室は、母が鑑定中は誰も立ち入ることを許されなかった部屋。母に「一緒に入るように」と言われた瞬間、母が本気で「私に継承することを考えている」ということを悟りました。

 

細木かおりと娘
娘さんの誕生日会の様子

── 数子さんの鑑定をそばで見て、どのような気づきがありましたか?

 

かおりさん:「細木数子の仕事」が鮮明に見えるようになりました。母の仕事は「運気を占う」という単純なものではなく「その人の心の叫びを聞いて、軌道修正してあげること」にあったのです。

 

「母がこれまで築いてきたことが、母の代でなくなってしまうなんてもったいない」

 

母がどのように人と向き合い、どのような姿勢で助言をしているのか知ったことで、私の考えが徐々に変わっていきました。