三つ編みのオーバーオール姿で高い声を発し、強烈キャラとして注目を集めるお笑い芸人・高木ひとみ○さん。キャラの確立は周囲のアドバイスがあったからだとか。でも、30キロ太ったことだけは、みずからの戦略だったようで。(全3回中の2回)

自分の声に特徴があると気づいていなかった

── 高木さんは高い声が印象的です。最初からお笑いの武器にしようと思っていたのでしょうか?

 

高木ひとみ〇
30キロ太る前の高木ひとみ○さん

ひとみ○さん:いえ。自分の声に特徴があることに、ずっと気づいていませんでした。地元・熊本では、友だちはみんなお互いを子どものころから知っている環境でしたし、日常生活のなかで「声が変わっているね」と指摘する人なんて、めったにいないじゃないですか。だから、自分の声について考えることなく過ごしていました。

 

はじめて声について指摘されたのは、芸人を目指すようになってから。「ひーちゃんの声って独特だね。武器になるんじゃないの?」とまわりから言われて。そういえば、タクシーに乗ると運転手さんから「声優さんですか?」と聞かれたことがあったことを思い出しました。やっぱり印象的なんでしょうね。声以外にも強みになるものを探そうと意識していました。外見も、お笑い芸人になってから30キロ太りました。意識して体重を増やしたんです。

 

高木ひとみ〇
お笑いを始め、キャラを立てるために太ることにした

── 30キロも!そんなに太ろうと思ったのはなぜですか? 

 

ひとみ○さん:以前はかなり細かったんです。でも、そこらへんにいる女の子って感じで。このままだと印象に残らなくて埋もれてしまいそうだなと。売れている芸人さんたちを見ると、太めの方が多い気がしていたんですよ。ぽっちゃりしているほうがキャラクター性があって、ゆるキャラみたいな親しみやすさも出るかなと考えました。とはいえ、最近、太りすぎちゃいました。ロケに行くと足の裏が痛いです。体重を少し落とさなければと、最近はダイエットを頑張っているところです。

相方のそえじまさんがいるから私のキャラが活きる

── テレビで見ていると、インパクトが強いキャラクターという印象です。先ほどのお話では「あえて太った」とのことですが、ほかに意識してキャラづくりをしている部分はありますか? 

 

ひとみ○さん:「高木ひとみ○」という芸人としてテレビに出るときは、三つ編みをしてオーバーオールを着ています。この衣装を身に着けるとスイッチが入るんですよね。衣装のおかげで、インパクトのあるキャラに見えると思います。プライベートとはギャップがあるというか、中身はふつうに年相応の女なんです(笑)。

 

最初はキャラを覚えてもらうため、素の部分はあまり見せないようにしていました。それがだんだん「ひとみ○はちゃんと会話ができる人」と、浸透してきたみたいです。いまは仕事のときも自分らしく、ムリなく過ごしています。最初からもともとの性格を見せていたら、芸人としてはウケなかったかも。個性の強いキャラを打ち出したおかげで、ありのままの私もギャップがあっておもしろいと受け入れてもらえました。個性的なキャラを打ち出した結果、ふだんの自分も楽しんでもらえて、芸人としてうれしいです。

 

ぽんぽこ
じつは約10年交際しているカップルでもあるぽんぽこのふたり

キャラづくりやネタについては、相方のそえじまさんのアイデアも大きいです。私はチャッキー(映画『チャイルド・プレイ』に出てくる架空のキャラクター)が好きなんです。それも、そえじまさんが「チャッキーのものまねをしてみたら?」とアドバイスしてくれて。おかげでテレビシリーズ版の海外ドラマ『チャッキー』のPRイベントに呼んでいただいたり、「チャッキーに似てる」と言われたりすることが増えました。家でふざけて踊っていたら、「その動きがおもしろいから漫才に取り入れよう」と提案されたこともあります。私ひとりだと、自分の何がおもしろいのかよくわからないんです。そえじまさんのプロデュース力には本当に助けられています。