それぞれの「あのときのゲッツ」をやり続けるのが僕の使命
── ダンディさんは、20年以上ずっと「ゲッツ」を続けてきていますよね。
ダンディさん:ブレイクしたのが20年以上前なので、イベントに行くと、子どものころにテレビや舞台で僕を見てくれた人もたくさんいるんですよ。30代の人から「小学生のときに、あの会場でゲッツを見たことあります。久しぶりに会えてうれしいです」って言ってもらったり。そういう人って“あのときのゲッツ”を覚えていて、見たいと思ってくれているから、変えられないんですよ。だから、当時の「ゲッツ」をずっとやってあげるのが、一度名前が売れた人の仕事なんだろうなって思うんです。
── あえて同じスタイルをキープしているんですね。ただ、長く続けるのは根気もいると思いますが、ご自身は「ゲッツに飽きたな」と感じたことはないのでしょうか?
ダンディさん:飽きてはいないけど、ブレイク当時は求められる数が多かったので、そのときには「ゲッツ、多いな」というのは感じていました。今はほどほどに、自分のさじ加減でやってるので。昔は変な振りをされて、何度も「ゲッツ」をやらされて「スベってんじゃねえか」って思ったこともありましたけど、今はそういうのはあんまりなくて。昔は、変なふうに「ゲッツ」を求められてスベったら、凹んでグダグダになっていたと思うんですけど。今はもう歳を取ったので「そっちがやれって言ったからやったのに!」って言い返しますけどね(笑)。
── お話を伺うと、ダンディさんはずっと好きなことを突き詰めてきた印象があります。長く仕事を続けてこられた秘訣も、楽しむことにありますか?
ダンディさん:そうですね。イヤなことも含めて、受け入れて楽しまないと。うまくいかないことも含めて、こういう仕事を目指した、幸せな人生を楽しむしかないかな、と思いますね。まだこれからもっと楽しいことがあるんじゃないかと思っていれば、ずっとやっていけそうな気がします。
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「テレビの露出が減った今もずっといい感じ」と話すダンディさん。そう言えるのはきっと、支えてくれる家族の存在があるからかもしれません。プライベートでは2児の父でもあり、長男に「気にしすぎ」と言われるほど心やさしいパパのようです。
PROFILE ダンディ坂野さん
だんでぃ・さかの。お笑い芸人。1967年生まれ。2003年、「ゲッツ!」の一発ギャグで人気を博し、同年の新語・流行語大賞にノミネートされる。
取材・文/市岡ひかり 写真提供/サンミュージックプロダクション、ダンディ坂野