いわき市で生まれ、アンドロメダに連れていかれた
── 地元でチャリティーイベントなどをしていくなかで、気持ちに変化があったそうですね。
ゴー☆ジャスさん:僕はゴー☆ジャスとして「宇宙海賊」を名乗っているんですが、震災前は出身地を「アンドロメダ3丁目」と言っていたんです。もちろん、いわき市出身だと知っている同級生もいましたが、公言することはありませんでした。でも、チャリティイベントなどに参加するようになってからは、いわき市出身だと公言するようになりました。出身地をちゃんと言うことで、自分が地元でできることや、地元の方とつながる機会が増えると思ったからです。だから「いわき市出身だけど、宇宙人にさらわれてアンドロメダ3丁目に行った」という設定にアレンジしました。
── 福島での活動はその後、増えていきましたか?
ゴー☆ジャスさん:そうですね。出身地を公言するようになってから、震災関連のイベントにたくさん呼んでもらえるようになり、地元に帰る機会が増えました。当時は原発の風評被害もあったので、できるだけ地元のお店に行ったり、地元の商品を紹介したりするようにしました。地元をなんとか盛り上げていきたいという気持ちが大きかったですね。
── 現在の福島はどのような状況ですか?
ゴー☆ジャスさん:震災から14年目になるので、街もかなり復旧しています。それでもまだ復旧できていない場所もあります。震災以降、福島に帰る機会は増えましたが、福島で仕事をするとなると、どうしても郡山市での仕事が多くなります。郡山からいわき市までは電車で2時間ほどかかるので、仕事のついでに実家に帰るのは難しいんです。なので、いわき市で仕事をして、実家に帰る機会をもっと増やしたいなと思っています。
── 東日本大震災から14年たちますが、当時を思い出して改めて感じることはありますか。
ゴー☆ジャスさん:あたりまえにあった日常が一瞬で壊れることがあると知りました。天災の前では人は無力というか。だからこそ、時間があれば故郷に帰ろうと思いますし、両親にもできるだけ連絡を取りたいと思っています。震災以降は、地元への思いがより強くなりました。
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いわき市出身であることを明言し、その後も地元を盛り上げるために活動を続けるゴー☆ジャスさん。きっかけとなったのは震災直後に駅前の商業施設から届いた1本の営業電話からでしたが、実はこの電話がきっかけで、依頼してきた女性担当者と運命の出会いを果たし、今年で結婚13年目を迎えています。
PROFILE ゴー☆ジャスさん
ごー☆じゃす。福島県いわき市出身。サンミュージックプロダクション所属。宇宙海賊を名乗り、ピン芸人として活動。YouTube登録者数は58万人を超えるなど、SNSでも活躍中。
取材・文/大夏えい 写真提供/ゴー☆ジャス