「アンドロメダ3丁目出身」という設定で「宇宙海賊」を名乗っていた芸人・ゴー☆ジャスさん。その出身地を地元・いわき市に変えたのは、東日本大震災がきっかけでした。「地元と繋がる機会を増やしたい」と語るゴー☆ジャスさんの今の想いは── 。(全2回中の1回)
福島の両親に電話をかけ続けた夜、祈る気持ちで
── ゴー☆ジャスさんのご出身は福島県とのこと。ご実家はどちらですか?
ゴー☆ジャスさん:実家はいわき市にあります。高校までいわき市で過ごしました。いわき平競輪場という場所の近くです。街の中心部からは少し離れていますが、住民が多く、それなりににぎわっている場所でした。実家には今も両親がふたりで暮らしています。
── 東日本大震災が起きた2011年3月11日の当日、ゴー☆ジャスさんはどのよう過ごされていたのでしょうか?
ゴー☆ジャスさん:14年前は芸人として既に活動していて、東京にいました。当時、『爆笑レッドカーペット』などのネタ見せ番組で起きていたお笑いブームがちょうど去ったタイミングで、仕事が激減してしました。時間だけがたくさんあったんです。だから、朝にコンビニでアルバイトをしていました。
3.11の日も、 渋谷センター街にあったサンクスで14時過ぎまでアルバイトをして、家に帰る途中でした。自転車に乗っていたので、揺れは感じたものの大きな地震だと思わなかったんです。でも、中目黒のドン・キホーテの前を通ったら、お店の前にあった水槽の中の水や魚が地面に飛び散っていました。それを見て大きな地震だったことに気づきました。

── しばらく経ってから、地震の大きさに気づいたんですね。
ゴー☆ジャスさん:それでもまだ情報が何もなかったので、「大きい地震だったんだな」くらいの感じで家に帰ったんです。そしたら、部屋の棚の中身が床に散乱していて。壁に固定してつけていた突っ張り棒まで落ちていたので、いつもの地震とはわけが違うなと慌ててテレビをつけました。そこでようやく「これは大変なことになったぞ」と気づいたんです。テレビで地震速報を見ていたら震源地が実家に近い三陸沖だというニュースが流れ、心臓の音が早くなるのがわかりました。実家はどうなっているんだろう、大丈夫なのかと両親に急いで電話をかけました。
── ご家族と連絡はとれたのでしょうか?
ゴー☆ジャスさん:回線が混雑していて、全然つながらなくて。ニュースを見れば見るほど、福島が大変なことになっていると焦りました。でも、どんなに電話をしてもやっぱりつながらない。その日は祈るような、信じるような気持ちで夜を過ごしました。何度も電話をかけて、ようやく電話がつながったのは次の日の夜です。両親から電話がかかってきました。