32歳で始めたものまね芸の道は幸せに満ちている
── 実際にイチローさんにお会いになったことは?
ニッチローさん:一度もないんです。なので、ご本人からしたら完全非公認です。ただ、イチローさんのご家族とはお会いしています。お兄さんとは野球のイベントで最初に会って、何かのパーティーでまた会って、一緒に番組にも出ています。プライベートで一緒に食事に行ったり、自宅にお邪魔したときはカレーをごちそうになりました。お兄さん、イチローさんと似てますよね。それはもちろん僕以上です。やっぱり兄弟だなって感じます。
イチローさんの実家の隣に記念館があって、そこに行ったときに、たまたまお母さんにお会いしました。そこでイチローさんに似ていると言っていただきました。お兄さんの会社の周年パーティーに行ったとき、お父さんともお会いしています。お父さんは厳しい印象で、思考もそうですけど、やっぱりイチローさんと似てる。パーティーで、お兄さんに「経営者としてまだまだだ」なんてコメントを出していましたから。

── これからもイチローさんの「ものまね1本」で?
ニッチローさん:もちろんです。僕は新しいネタはなくて、ひとつのネタをつねにやっています。でも、自分でも飽きないですね。いろいろな人のものまねをする人もいるけれど、僕はできない。そんな器用じゃないから。みなさんすごいなって思います。そこでは僕は絶対いちばんになれない。
でも、イチローさんのものまねに関しては、いちばんを目指したい。実際にほかにプロでものまねをやっている方はいないと思う。ものまねを始めた当初から、そういう意味でこれは世界一になれるな、という気持ちがありました。だからとりあえず1位。単独1位です(笑)。イチローさんといえば、日本人で知らない人はいない。そういう意味でもすごく際立った方ですし、いつまでもみなさんの記憶に残ってる。だから僕は本当にラッキーです。僕が寄せたわけじゃなくて、たまたま似ていたから、こうしてニッチローでいられる。似ていたことでここまでこれて、いまの人生がある。イチローさんと親には、本当に感謝しかありません。
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イチローさんだからものまね芸人として、本気で飽きずにとことん、ふだんのしぐさや野球のプレースタイルを追求したとニッチローさんは話します。アメリカではあやうく球場から退場させられる事態にも遭遇したニッチローさんですが、ものまね道は終わりがありません。
PROFILE ニッチローさん
にっちろー。1978年9月23日生まれ、長野県飯田市出身。2011年『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)内『博士と助手~細かすぎて伝わらないモノマネ選手権~』で準優勝。イチロー選手のものまね芸人として活躍し、テレビやイベント出演多数。
取材・文/小野寺悦子 写真提供/マネナーズ