イチローさんのものまねだからこそ続けてこられた

── とはいえ、プロのものまね芸人としてやっていける人はひと握りと聞きます。ニッチローさんのなかで、「自分はイケる」自信があったのでしょうか?

 

ニッチローさん:まず、イチローさんのものまねをしている方がほかにいないということ、それが大きかったですね。それにイチローさんですから、やっぱり誰もが知っている。イチローさんでなければ、自分もここまでやろうとは思わなかったし、ほかの選手だったら、たぶんものまねも趣味で終わっていたと思います。イチローさんでなければ、自分の人生をかけてまでやろうとは思わなかったでしょう。
 

ニッチロー
オードリーのANNイベントで

── そこまで思わせるイチローさんの魅力とは?

 

ニッチローさん:イチローさんについて勉強するほど、すごく興味をひかれていくんです。一つひとつの動きについて、これは何か意味があるのだろうかと探っていくと、いろいろ発見がある。「こんな動きをしていたんだ」って気づかされることがいまだにあります。それだけ動きの意味が深い。イチローさんを追いかけるうちに、行動や考え方も影響を受けるようになりました。

 

「イチローさんだったらこうするんじゃないか」「こう考えるんじゃないか」と思うようになって。もともと自分自身あまりひとつのものごとを続けられるタイプではなく、だいたい中途半端に終わりがち。考えていても行動できなかったり、3日坊主だったりしていました。でも、イチローさんのものまねに関しては自分で決めて、これまでちゃんとやれてきた。それはたぶん、イチローさんのマインドなのかなと思っています。

 

 

徐々にメディアへの露出も増えていったニッチローさん。貫くイチロー愛ゆえ、ゲン担ぎにと身の回りのものは「51」にそろえるようにしているそう。そうした活動が繋がって、ついにはイチローさんの家族とも対面を果たしたそうです。

 

PROFILE ニッチローさん

にっちろー。1978年9月23日生まれ、長野県飯田市出身。2011年『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)内『博士と助手~細かすぎて伝わらないモノマネ選手権~』で準優勝。イチロー選手のものまね芸人として活躍し、テレビやイベント出演多数。

 

取材・文/小野寺悦子 写真提供/マネナーズ