32歳でカフェを辞めてものまね芸で生きようと
── プロの芸人になったのは?
ニッチローさん:路上で3年ほどパフォーマンスを続けたころ、これだけ人が集まるのなら、プロのものまね芸人でいけるんじゃないか、と思うようになって。まず、衣裳をちゃんと揃えようと思い、ユニホームを一式買いました。実際にプロになろうと心を決めたのは、2010年9月23日。イチローさんが史上初の10年連続200安打を達成した日です。実はこの日は僕の誕生日。だから縁があると勝手に思って、働いていたカフェを退職しました。
── 芸人として活動するあてはあったのでしょうか?
ニッチローさん:なかったですね。コネクションもなかったし、仕事は何も決まっていませんでした。でも、自分の中でなんかスイッチが入ったんです。路上で3年間パフォーマンスをしてきて、みなさんの反応とか、その空気を感じていたからだと思います。カフェの仕事は好きだったけど、32歳になっていたので、これ以上時間が経ったら思いきれないだろうな、という気持ちもありました。
でも、代々木上原のカフェは辞めてからもずっと通っていて、いまでもよく足を運んでいます。やっぱりそこが僕の原点なので。周りから似てると言われてものまねを始めた。自分発信ではなかったけれど、それでこれまでやってきた。そういう人生を歩めているのもおもしろいなと思ってます。
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カフェ業界から32歳で一念発起してものまね芸人へと転身したニッチローさん。まずは、イチローさんのプレーをじかに見ようとニッチローさんは渡米を決断します。
PROFILE ニッチローさん
にっちろー。1978年9月23日生まれ、長野県飯田市出身。2011年『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)内『博士と助手~細かすぎて伝わらないモノマネ選手権~』で準優勝。イチロー選手のものまね芸人として活躍し、テレビやイベント出演多数。
取材・文/小野寺悦子 写真提供/マネナーズ