立場を利用した横暴な態度や自分の利益のためだけに行動するような、見ていてつらいニュースが多く流れる中、「いい話」「すばらしい!」と、ある鉄道会社の試みが話題になっています。

「受験日は運賃がタダ」の学生向け鉄道サービス

受験シーズン真っ盛り。電車の中で真剣に単語帳を眺めたり、図書館で黙々と問題を解く学生の姿を目にする季節です。そんな中、受験生に優しい眼差しを向ける四日市あすなろう鉄道の取り組みがSNSで話題を呼んでいます。同社鉄道営業部総務企画課の杉田裕和さんに話を聞きました。

 

鉄道会社の「立て看板」
二重の意味で素晴らしい!と絶賛されている鉄道会社の「立て看板」

── 入試時期の高校生に「受験生は無料でご乗車いただけます」と呼びかける駅構内にある立て看板がSNSでも話題になっています。始めたきっかけは?

 

杉田さん:もともと沿線に高校が点在していますし、当社の鉄道を利用して他地域の高校に通学する方も多くいらっしゃいます。当社の鉄道に乗って試験会場に向かう受験生の皆さんの往復運賃を無料とすることで、高校入学前に当社路線の利便性や快適性を実感していただき、将来の高校通学時のご利用につなげられたらという想いで、この「高校入試応援キャンペーン」を始めました。

 

── たしかに、2路線9駅の沿線に四日市工業高校、海星高校、四日市南高校、四郷高校と4校ありますね。今年はじめたことなのでしょうか?

 

杉田さん:じつは2019年より毎年、高校受験シーズンの1〜3月に実施しています。沿線高校の推薦入試が始まる時期からスタートします。

 

── 乗車が無料とのことですが、どのような仕組みで受験生は乗車できるのでしょうか?

 

杉田さん:乗車時に駅係員に受験票をご提示いただいた方に「高校入試乗車証」をお渡しして、無料で乗車いただいています。無人駅で乗車する場合は、「高校入試乗車証」を所持する運転士にお声かけいただき、お渡ししています。

受験票忘れ防止にもつながる「感謝の声も」

── なるほど。受験票が「乗車券」になるわけではなく、あくまで乗車券をもらうために必要というわけですね。学生にはうれしいキャンペーンですが、もうひとつ、このキャンペーンが大きな意味をもっているとか。

 

杉田さん:駅で受験票を見せることで「受験票忘れ防止にもなる」というお声を、SNSでいただいております。もともとは当社路線を将来ご利用いただきたいという趣旨で本キャンペーンを始めましたが、当社の想定した形以外でも受験生の皆さんのお役に立てているのであれば嬉しいです。

 

── それは学生からしたら本当にありがたいことです。万が一、受験票を忘れても駅で「高校入試乗車証」を得るタイミングで気づけるから、いざ受験会場に着いて「受験票がない!」といったパニックな状況は防げますね。

 

杉田さん:受験生にはふだん通りの力を発揮してもらいたいと思っています。駅で「高校入試乗車証」をお渡しする行為が、その一助になっているのであれば嬉しいです。実際、地元の方から駅に感謝の言葉を寄せられることもあります。

 

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四日市あすなろう鉄道の全線が1日乗り放題になるおトクな「1dayフリーきっぷ」も発売

── 鉄道会社の思いやりが伝わってきます!

 

杉田さん:受験生の皆様におかれましては、入試の健闘をお祈りするとともに、無事に合格されましたら、ぜひ、四日市あすなろう鉄道をご利用になって快適に高校に通学していただけたらと思います。 

 

 

受験は誰だって緊張してしまうもの。ましてや受験票を忘れたら…。そんなパニックを減らせる鉄道会社の優しさにあふれた取り組み。話を聞いて、穏やかな気持ちになりました。

 

取材・文/西村智宏 写真提供/四日市あすなろう鉄道