2024年12月末でTBSを退社したばかりの元TBSアナウンサー小倉弘子さん。50歳という節目を迎えるにあたり、小倉さんはこの先の人生について「このままでいいのか?」と自分に問いかけたそう。(全4回中の2回)
退社を決めた2つの理由

── 昨年12月末でTBSを退社なさったばかりの小倉さんですが、27年勤めた会社をなぜ退社すると決意なさったのですか?
小倉さん:実はここ数年ずっと考えていたことだったんです。3人の子どもが今高校生、小学6年生と1年生ということもあり、「あと20年くらい元気に働いていたほうがいいだろうな」となんとなく思っていて。子どもたちを育てる体力や資金、自分たちの老後の不安を考えたときに、あと20年会社にいたいけど、定年を迎えるのでそれが難しい。それがまずひとつの理由です。ただ、定年の制度も変わってくるかもしれませんし、いろいろな形で会社の近くで働けるかもしれない、でも…。そこで「でも」という言葉が出てしまうことを悩みました。
もうひとつの理由は、私はアナウンサーの仕事が好きで、物事を発信したり伝えることが好きなのですが、その仕事をこのままあと5年、10年先もできるのだろうかと。というのも、会社にいると年を重ねるごとに管理職の仕事が増えていきます。大きな組織にいると異動はつきものですし、上に行けば行くほどいろんな立場で物事を見ないといけなくなります。この先アナウンスセンターにいられるかもわかりませんし、違う側面から会社という組織の中でキャリアを活かさなきゃいけない。「自分はどうしたいのか?」と問いかけたとき、「自分のやりたい仕事をしたい」と実感してきました。人生100年時代、だったらこれからの20年やさらに先に向けてもう1回、ゼロからひとつずつ積み上げていくのもありかもしれないなって思ったのも退社を決めた理由です。
振り返ったときに40代があっという間だったんですよ。3人目を授かって43歳で出産して体力的に削られましたが、うれしさもあり子育てに夢中でした。そんなときコロナ禍となり、3年間が急に飛んでいった感覚で。そこには長女の中学3年間、次女の入学式もあったのによく思い出せない。ぼんやりしたままビューンと過ぎてあっという間に50歳になった気がして、自分の人生設計の帳尻が合わない感覚に急に陥りました。それで上司にも50歳になる前に辞めたいと相談して、辞めることしたんです。まずはここから20年、70歳に向かってしっかり積み上げていきたいなという気持ちでスタートをきったところです。