個人のインスタに突然オニツカタイガーからDMが

オニツカタイガー「KANTA&KAEDE」
オニツカタイガー「KANTA&KAEDE」

── 企業の方から連絡があったんですね。

 

輪島さん:そうなんです。HPやメールアドレスも特になかったから、そこしか手段がなかったんだと思います。オニツカタイガーのデザイナーさんとやり取りするうちに、「近々石川県まで出張する予定があるから、そのときにお会いできませんか?」という話になりました。急きょ予定をやりくりしてくださったので、わが家にいらっしゃったのは朝7時半でした。自宅で子どもたちの作品を見てもらい、2人とも知的障がいを伴う自閉症であることなど説明したら、その場で「2年後の世界自閉症啓発デー(毎年4月2日)を目標に一緒にスニーカーを作りませんか?」という話が出て、今までに経験のない出来事に戸惑いを感じ、「今の話は夢だった?」と不安になるほどでした。同時に「新しいことが始まる!」とドキドキしました。

 

── 実際に2019年と2021年、おふたりの作品をあしらった「KANTA&KAEDE」スニーカーがオニツカタイガーから販売されました。

 

輪島さん:有名企業とのコラボ商品が国内とヨーロッパ、アジア諸国で発売されたということで、地元では大きなニュースになりました。忘れもしない2019年5月5日、北陸中日新聞の1面トップにキッズアーティスト「KANTA&KAEDE」のことが大きく取り上げられたんです。令和が始まったばかりということもあり、貫太と楓の写真の隣には、偶然にも皇后関連記事が並び驚きました。知的障がいがあって、自閉症で、地方に住む子どもでも、新聞の一面に載れるんだ!と、感慨深かったです。

 

── その後、ほかの企業とのコラボが続いています。

 

輪島さん:新聞一面に取り上げてくれた北陸中日新聞さんは作品展を開催してくださり、コロナ禍でステイホームを呼びかけるイラストやSDGsのキャンペーンイラストを依頼いただきました。2020年の東京ガールズコレクションのバックヤードでは、食べ残しを持ち帰る「ドギーバッグ」に貫太のイラストが採用され、のちに2人のイラストを使った公式グッズも発売されました。同年にはアーティストのCDジャケットにイラストが使われ、最近では、ロイヤルホストのコースターに貫太が描いた花の絵が採用されました。

 

ただ、最初にオニツカタイガーさんとコラボしてからずっと「こういう理想の状態がいつまで続くのかな?」という不安は持ち続けています。