娘も自閉症の特徴が。兄妹2人とも行動がバラバラ

貫太さんの幼少期の絵

── そういった状況のなか、長女の楓さんにも自閉症が発覚したそうですね。

 

輪島さん:楓の場合、すでに私自身に自閉症の知識がいっぱいあったので、生後8か月くらいから「自閉症の症状に似ている部分があるな」と感じていました。1歳を過ぎると「共同注視」をしないという特徴が気になり、さらに違和感が大きくなりました。「共同注視」というのは、たとえば子どもが「あ、たんぽぽだ!きれいだな」と思ったとして、通常であれば近くにいる親などにたんぽぽを指さして共感を求めるんです。楓はお花を指さしはするものの、振り返って私に知らせるとか、共感してほしいような行動がありませんでした。感情の表現が一方的だったんです。

 

いちおう病院で相談しましたが、少し様子を見ましょうと言われたのが1歳半ごろ。そこからは、貫太よりも楓のほうに自閉症の特徴が色濃く出始めました。兄妹で同じ場所にいても、2人ともバラバラなんです。どちらに声かけしても反応がなく、それぞれどこかに行ってしまうし、外へ出かけるときは1人を抱っこして1人は手をつながないと、必ず勝手にいなくなってしまうから、スーパーにも行けませんでした。

 

── 2歳年上の貫太さんは、幼稚園に通い始めたころですか?

 

輪島さん:そうです。そのころは、幼稚園で健常なお子さんを見かけるたびにみじめな気持ちになりました。「世間から置いてきぼりにされた」と感じていました。

 

── 旦那さんはどんな様子だったのですか?

 

輪島さん:たぶん、同じ気持ちだったと思います。みじめさは一緒だったけれど、お互いに言葉にすることができなかった。言葉にしてしまうとよけいにつらくなってしまうと2人ともわかっていたんだと思います。