戦隊ものの出演を通じて子どもの手本になろうと

── そんな伝統があるとは知りませんでした。知ると、ますます作品を楽しめますね。放映期間中、視聴者である子どもたちのために、ふだんから心がけていたことはありますか?

 

片岡さん:社会のルールを守る、子どもたちのお手本になる行動をとる、をつねに意識していました。青信号が点滅しているタイミングでは、歩道を渡りませんでした。子どもにはそう教えますよね?芝居の前に「人としてしっかりする」「子どもたちの夢を壊さない」のは、当時のプロデューサーもとても大切にしていました。

 

── ヒーローがお手本を示してくれると、親としては「ヒーローもしているよ」と子どもに教えやすくてありがたいです。実際に、子どもたちとやりとりしたことはありますか?

 

片岡さん:撮影の途中などに交流することはありました。でも、役柄の影響で子どもたちは僕の「ゴーオンブルー」はあまり強くないと思っていたので、「ゴーオンブルーには勝てそう」と、やってくるんです。というのも、「ゴーオンジャー」は乗り物と動物がコラボした設定で、レッドはスポーツカー、イエローはRV車、ブラックがパトカー、グリーンはバイクで、僕のブルーは「バス」(笑)。

 

さらに、みんな得意技があるのに、僕だけ得意技がなくて「得意料理:オムレツ」という特殊能力がありました。ドラマ内でも僕がみんなに料理をふるまっていると、突然、敵があらわれて、食事を残しながらみんなで戦いに行くシーンがよくありました。子どもたちが「ブルーには勝てるかも」とパンチしてきたら、大人の厳しさをもって、「くすぐり地獄」にしてお返ししていましたよ(笑)。でも、「優しいお兄さん」のイメージをもたれ、お母さん方からはかなり応援されていましたね。いまでも、「天気予報しているゴーオンブルーを発見!」と、再び応援してくれる方もいて、長くこの仕事を続けてきた醍醐味を感じています。

 

PROFILE 片岡信和さん

かたおか・しんわ。中央大学卒業後、2006年に芸能界入り。「炎神戦隊ゴーオンジャー」(テレビ朝日系)で本格的に俳優デビュー。 ドラマ、映画、舞台、ラジオパーソナリティーなど多方面で活躍。 2019年に気象予報士試験に合格し、 2020 年の春よりテレビ朝日系 「羽鳥慎一モーニングショー」の天気コーナーを担当。『かたおか気象予報士の毎朝10 秒! 楽しく「お天気ストレッチ」』(幻冬舎) 出版。2024年10月より、テレビ朝日系「有働Times」でピアノ弾き語り天気予報を行っている。2025年5月よりNHK総合夜ドラ「ワタシってサバサバしてるから 2」に神谷聡介役で出演。

 

取材・文/岡本聡子 写真提供/片岡信和、株式会社MYS