35歳で高校卒業し、日本経済大学に進学
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── スザンヌさんは2021年に、中退していた通信制の高校に再入学し、翌年35歳で日本経済大学に入学されました。
スザンヌさん:高校卒業後、推薦入学で日本経済大学のファッションビジネスを学べる学科に進みました。昔からお洋服が大好きだったので、いずれ起業するならファッション関係のお仕事をしたいなという思いがあったんです。大学で簿記や経営のことを勉強するうちに「数字のことをちゃんと知ることで経営もうまくいくんだな」と実感し、あらためてカフェのことも客観的に振り返ることができました。
2023年、大学2年生の時にアパレルブランド「Style Reborn」を立ち上げ、株式会社yamaを設立しました。起業は卒業後にする予定でしたが、経営のことを学ぶなかで「どうせなら早めにやってみたい」という気持ちがわいてきたんです。
── カフェでの経験は、旅館「KAWACHI BASE-龍栄荘」(カフェや温泉、旅館を構える施設、旅館は2025年2月グランドオープン)の経営にも生きているのでしょうか。
スザンヌさん:「KAWACHI BASE-龍栄荘」を始めるに当たって、「そういえば私、こういうお店作りをしたかったんだったな」と、当時の気持ちを思い出しました。経営に関しても、あのころは無知でしたが、今は学びや経験を重ねてできるようになった部分があるので、「今度こそ」という思いはあります。接客面でも、どのタイミングでお客さんに話しかけに行ったら邪魔にならないかとか、心地よさを感じていただけるコミュニケーションのとり方などは、以前の経験が生きているんじゃないかなと思います。
──「おバカタレント」としてブレイクしたスザンヌさんですが、実は真面目で努力家。子育てをしながら学びを重ね、キャリアを切り開いていく姿は、パワフルで素敵です。かつての「おバカキャラ」は返上ですね。
スザンヌさん:「実は、そんなにおバカじゃないんですね」と言っていただくこともあるのですが(笑)、おバカな一面は、今でも全然ありますよ。ただ、学びを重ねて知識が深まっていったり、会社を設立してビジネスをしたりと、いろいろと経験を積みながら頑張っているところです。お友達のつるの剛士さんや相川七瀬さんなど、芸能界でも学び直しをしている人が今、すごく多いですよね。みんなの頑張りをニュースで知るたびに、「私も頑張ろう」と刺激をもらっています。
── アパレル会社の経営者であり、旅館のオーナーとしての顔も持つスザンヌさん。すっかり実業家ですね。
スザンヌさん:ホントですか?うれしいです。実業家なんて、呼ばれてみたい肩書No.1ですよ(笑)。とはいえ現実は、まだまだ自転車操業ですから、実業家なんて程遠いですけれど。ただ、自分が「これをやりたい」と感じることに対して、一歩踏み出すスピードや決断力は、誰にも負けないくらい早いんじゃないかなと自負しています。
一度しかない人生だから、後悔しないように生きたいと思っているんです。私は今、38歳ですが、40代は知識や経験を重ねて、いろいろなことができる時期だと思うし、周りの人たちにもたくさんのことをわけ与えられる時期なのかなと。そのために今、もがいたり悩んだりしながら、前に進んでいるところですね。
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30代での学び直しを経て、旅館「KAWACHI BASE―龍栄荘―」の経営をスタートしたスザンヌさん。温泉つき旅館を2400万円で購入し、リノベーションを経てオープンをしたこの旅館ですが、物件の老朽化が予想以上で、リノベーション費の見積もりはなんと「2億円」だったそうです。
PROFILE スザンヌさん
すざんぬ。1986年、熊本県出身。高校生の時に芸能活動を開始し、2006年に上京。『クイズ!ヘキサゴンII』への出演をきっかけに、おバカタレントとしてブレイクし、多方面で活躍。2014年に第一子を出産。15年に離婚を経て、熊本県に移住。2023年にファションブランドを起ち上げ、株式会社yamaの代表取締役社長に就任。2024年12月から、「KAWACHI BASE-龍栄荘-」をオープン。
取材・文/西尾英子 写真提供/スザンヌ