プロの歌手が音程ズレすることなく歌いきるさまがおもしろくもあり、感動さえ呼ぶテレビ番組『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)。4回目の出演となったマルシアさん(55)が、全力を尽くす姿が話題を呼びました。(全5回中の5回)

毎日8時間くらいカラオケボックスに通った

── 2024年11月3日放送の『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)に出演し「サビだけカラオケ」という企画に挑戦されました。出演にあたり、どのような練習をされたのでしょうか?

 

マルシアさん:この番組に出演するのは4回目ですが、これまではいい成績が出せていませんでした。だから、今回こそは必ず結果を残そう、そのために徹底的に特訓して自分の限界に挑もうと決めていたんです。番組の資料が届いたのが収録の1週間くらい前。そこから毎日8時間くらいカラオケボックスにこもり、ずっと練習しました。トータルで100時間くらいはかけたと思います。その期間は誰にも会わず、できるだけ話もせず、のどのケアに気をつかっていました。

 

マルシア
左手の感情あふれるポーズが印象的なマルシアさんのリハ風景

── ひと言で「歌う」と言っても、歌手として持ち歌を歌うこととカラオケで高得点を出すのはまったく違うと思います。「鬼レンチャン」の難しさはどんなところにありますか?

 

マルシアさん:私が挑戦した企画「サビだけカラオケ」は、番組が指定する名曲のサビだけを歌い出して1音も外さず、10曲連続で歌いきれたら賞金獲得というルールです。カラオケ採点機が歌の判定を行うから、正確さが大事なんですね。とにかく譜面どおりに、絶対に音を外さずに歌うことが重視されます。放送を重ねるにつれ、企画の難易度が上がっていることもあり、歌手としてのテクニックだけでは対応するのが難しいです。課題曲の譜面を丸暗記するよう徹底しました。歌い方も工夫しました。ふだんは歌に感情をこめることを大切にしています。でも、この番組では少しでも感情移入すると、ピッチがズレてしまって…。淡々と、正確に歌うことを心がけたんです。

気づけば雄叫びをあげていたけど

── 結果は9連勝。最後の10曲目にたどりついたときはどんな気持ちでしたか?

 

マルシアさん:本当にうれしかったです。でも、この番組の難しさは1秒たりとも油断できないところにあります。10曲目を歌い、ゴールが見えてきたときに私は「あと少しだ、もう大丈夫」と一瞬、気がゆるんでしまったみたい。残念ながら最後の最後でミスしてしまいました。次に出演させていただく機会があったら、クリアするまで緊張感を持ち続けようと思います。ただ、この番組はバラエティでもあります。歌だけに集中するのではなく、トークの流れも考えないといけないんです。

 

マルシア
ライブのリハーサルも入念に行いつねに最善を尽くす

── 歌にも集中し、トークも考えるとは。出演中はさまざまな部分に気をめぐらせないといけないんですね。

 

マルシアさん:そうなんです。視聴者の方にいかに楽しんでいただけるか、何を伝えたらいいかを考えながらトークをして、歌も正確に歌って。本番中は頭をフル活動させていました。私が番組に呼ばれたのは、歌手としての歌唱力はもちろん、バラエティタレントとしておもしろさも求められたからだと思います。自分の役割をまっとうすることに全力をかけていました。収録中は歌にお話に全集中していたから、どんなふうにテレビに映るかまで意識していませんでした。実際の放送を観たら、私は曲をクリアするたびに号泣して、雄たけびをあげていて。「あれっ、私こんなに大暴れしていたっけ?」と、びっくりしました(笑)。

 

でも、一生懸命だったからこそ素の姿がむき出しになっていたし、ありのままの自分だったと思います。視聴者の方が楽しいと思ってくれればそれが本望だし、もちろん私自身も楽しんでいます。