特に気になった3つのこと
── 交際がスタートしていかがですか。
ななこさん:とても楽しいですが、はじめはふとしたときに弱気になることがありました。「周りの人はどう見るんだろうか」「年齢差がある人に気持ちをもつとかおかしいんじゃないか」とか。私としてはよくないことのように思えるし、将来ある若者に対して私がそばにいちゃいけないんじゃないかって。いろいろなことをすごく悩んで、彼に何度も問いかけをしました。
── とくにどのあたりが気になりましたか。
ななこさん:大きくわけると3つですね。「子どものこと」「私の老い」「周りがどう思うか」。まず、子どものことを最初に投げかけました。私は年齢的にもう出産は厳しいですが、彼は若い。彼に子どもについて聞いてみたら「自分は子育てが向いてない気がするし、自分が自由にやりたいことをやるのがいちばん」と言われたので、これ以上、気にしなくてもいいのかなと。もし、彼が子どもを作ることを望んでいたら、私は離れたと思います。
あと、老いていく不安ですね。私は還暦目の前ですし、シワが増えれば白髪も増える。いろんな症状が出てきますよ。いくら「それでいいんだよ」って言われたところで、今を起点に3年後、5年後、10年後の自分を思い描いたときに、自分で自分が嫌になることもあります。
その思いがゼロになったわけではないですが、つき合いが一年以上経った今は、彼がシワも白髪もすべて寛容に受け入れてくれるんですよね。私が「こんなにシワが増えて」なんて冗談で言いますけど、あまり気にしなくていいというか、自分をさらけ出して生活できてますね。あと、顔だけではなくて、体力もだんだん落ちていきます。20代のころって50代の体力はあまり想像つかないと思うんですけど。でも、そんな不安もすべて話していく中で薄れていった感じです。
歩夢さん:自分はシワや白髪が増えようが気にならないし。たとえばなんですけど、僕は車が好きなので、最新の車と昭和の車を比べたときに、たしかに最新の車は快適に乗れます。でも、味わいというか、乗ってておもしろいのは昔の車だと感じるタイプなんです。全然、違う魅力があると思うんですよね。
── 年齢差だけではないかと思いますが、心変わりの不安はありますか?
ななこさん:はじめは考えましたね。今はいいけど続くのかって。でも彼と一緒にいて、簡単に信用を壊す人じゃないなっていうのはわかってきた。彼とは今は一緒に住んでいますが、遠距離からスタートしたんです。「彼の同世代の女性に嫉妬することとかありますか?」と聞かれることがよくありますけど、心配していたら遠距離なんて不安でやっていけなかったと思うんです。だから彼が心変わりするとか、彼に対するやきもちもないんですよ。幸せな人間だと思いますけど。自分に自信があるわけじゃないし、もともと私は考えてしまうほうなんですが、彼の人間性を見てそういうことをする人じゃないとわかったので、今は2人で楽しく暮らしています。
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そんなおふたりですが、歩夢さんが2024年の夏に転職をし、勤務先が関東になったことをきっかけに同棲をスタートすることになりました。
取材・文/松永怜 写真提供/ななこ