学生にとっては卒業式がひと区切りの行事ですが、子どもを送り出す母親のひと区切りはお弁当作りなのかもしれません。あしかけ15年間作り続けた息子へのお弁当。初代C.C.ガールズの藤森夕子さんのお弁当作りは、家族や料理への愛にあふれていました。(全4回中の1回)
お弁当の残し方で学校の様子も感じられた
── 料理好きで知られる藤森夕子さん。インスタに手作りのお弁当を日々アップされていますが、どれも手が込んでいておいしそうです!
藤森さん:お弁当は息子が幼稚園のときから作っていて、もう15年くらい続けています。いまでは夫のお弁当も作るようになりました。お弁当作りって負担だという人もいるけれど、私はむしろ楽しくて。食べるもので身体ができあがるわけじゃないですか。だから、やはりそこは大切にしたいところですよね。

── 息子さんの好物といえば?
藤森さん:玉子焼き。幼稚園のとき「お母さんの玉子焼きが好き!」と、言ってくれた息子の笑顔が忘れられなくて。お弁当には、ほぼ毎回、玉子焼きを入れています。変化することも大切ではあるけれど、お弁当箱を開けたとき、変わらぬものがそこにある安心感も大切にしたいから。私の玉子焼きはだし焼き玉子で、巻きすで巻いて型をつけています。毎日当たり前に作るものだけれど、だからこそ、ていねいな時間を大切にしたいと思っています。
息子がお弁当箱を空にして帰ってくると、今日も一日無事に終われたんだなと幸せな気持ちになりますね。でも、たまに残すことがあって。でも、その残し方で「きっと昼休みにやりたいことがあったんだな」「4時限目が長引いて時間がなかったんだな」と、その日の学校でどんな状況だったかわかるようになりました(笑)。
息子にとってカレーといえば
── 料理好きは昔から?
藤森さん:母が働いていたので、小学生のときから自分でよく作っていましたね。ちょっとお腹がすいたときにパッと何か作って食べたり、夕ご飯を作って母の帰りを待つこともありました。自分自身、食べることは好きだけど、自分の手料理で誰かが喜んでくれるのもうれしくて。C.C.ガールズ時代も時間を見つけては、お友だちや仕事の仲間を呼んで、家で手料理をふるまったりしていました。あの当時はすごく忙しかったけれど、それが私の楽しみであり息抜きだった気がします。
── 料理の腕前はもはやプロ級で、期間限定でカフェをオープンされたそうですね。
藤森さん:ご縁があって、3か月間だけ「知り合いのお店を使っていいよ」と言われて。壁にデザインをしたり、インテリアをちょっと変えたりして、殺風景だった空間をデコレーションしていきました。すべて手作りで、看板も作っています。温かいものを温かく食べてもらいたい、ホッとできる場所を提供したい、という想いでお客様をお迎えしていました。たった3か月間だけでしたけど、みなさんにすごく喜んでもらえたので、本当にうれしかったですね。

店で好評だったのが、オリジナルのスパイスカレー。スパイスにはかなりこだわっていて。たとえば、ホールで使うのか、それともパウダーになっているものがいいのか、それだけでも違ったりする。このスパイスはちょっと弱いほうがいいな、この香りは好きだからもう少したしたいなと試行錯誤を繰り返し、自分の納得できる味にいきついた感じです。息子もスパイスカレーが好きでよく食べています。年齢に合わせて辛さを調整していたので、そのたびに少しずつ違うけど。息子にとってカレーといえば、もうあの味でしょうね。