親との約束を果たせず「泣きながら父に電話して」

── その努力が実って、郁文館に見事合格されました。

 

山崎さん:でも、都立には落ちてしまって、手放しでは喜べなかったのを覚えています。「ヤバい、お金かかる」と思って。もちろん、郁文館に合格してうれしい気持ちはあったんですが、両親とは都立に行く約束をしていたので…。でも、どうしても地元の公立中学には行く気にはなれず、郁文館に進学させてほしいとお願いするために、泣きながら父に電話をかけました。学費は父に出してもらっていたので、自然と敬語になりましたね。 

 

まず「都立は落ちました。私立には受かりました」と話して。父から「おめでとう」のひと言はありましたが、ハシャいだ感じではなかったです。 郁文館には、特進クラス受験者の上位4人は入学金が無償になる制度があったのですが、そこにも入れなかったので、「入学金がかかるし、高い学費もかかります。でも私、郁文館に行きたいです。行っていいですか?」と。

 

── そのときのお父さまの反応はいかがでしたか?

 

山崎さん:成績が学年1位になると奨学金で次の1年間の授業料が免除される制度があったので、「来年から奨学金がもらえるように頑張って勉強するなら進学していい」と許してもらえました。そこから改めて勉強を頑張って、中学2年生から高校1年生までは、授業料が免除となりました。

 

── 中学受験を改めて振り返って、今はどんなお気持ちですか?

 

山崎さん:中学受験を経験して本当によかったと思っています。私の学年は男子校が共学化された初年度だったので、女子生徒が入るのは初めてで。クラスに女の子は少なかったのですが、そのぶんすごく仲よくなったんです。それに、特進クラスは、成績が下がらない限りずっと同じメンバーで、担任の先生も3年間一緒でした。だから、今でも関係が続いている子がたくさんいます。 郁文館に入ったおかげで、一生モノの出会いがありました。