気づいたら卵巣が癒着していた
── 激痛の中で、やり投げをされたんですね。
宮島さん:当時は必死でした。壮絶な痛みだったのですが、その日も翌日も一日中、生放送やレギュラー番組の収録があったので、病院には行けず…。いつものように痛みが徐々におさまっていき結局、1週間放置してしまいました。でも、痛みは消えたのに発熱がずっと続いている。さすがにこれはおかしいなと思い、ようやく病院に行きました。そこで子宮内膜症と診断されました。両側の卵巣に4cmの塊がある状態でした。
── 子宮内膜症は胃も痛くなるんですね。
宮島さん:片方の卵巣が破れて、「チョコレート嚢胞」と呼ばれるものが体内に出てしまっていたようです。そのせいで卵巣や腸などが癒着していたと知りました。臓器が癒着していたと聞いて、自分でも衝撃で。こんな状態になるまで自分の体を酷使していたんだ、とさすがにショックを受けましたね。生理痛だからといって、痛みが下腹部だけに出るわけじゃない、ということはみなさんにも知ってほしいです。
── 卵巣や腸が癒着することを初めて知りました。
宮島さん:婦人科の先生から「生理痛が重いと感じている人は、子宮内膜症になりやすい傾向がある」と教えていただきました。それを聞いて初めて、おなかが痛いという理由だけでも、婦人科には行くべきだったと気づきました。たかが生理痛とやり過ごしてはいけなかった。当たり前だと思っていた痛みは、全然当たり前じゃなかったんです。
── アナウンサーとして多くのレギュラー番組を抱える中、手術はどのタイミングでされたのでしょうか?
宮島さん:手術をしようと思ったタイミングで、ちょうどコロナ禍になりました。当時は、コロナがどのようなものかもわからなくて、病院に行くのも怖くて。主治医の先生から「今すぐ手術をしなくてもよい」と言われたので、しばらく様子を見ることにしました。でも、コロナ禍のストレスで症状が悪化してしまったんです。先生に相談して、まずは薬物治療から始めて、半年間続けても卵巣の嚢胞が小さくならなかったら手術をしようという話になりました。
── 薬物治療もつらいイメージがあります。
宮島さん:ホルモンの薬だったので、投薬を始めた最初の1ヶ月くらいは精神的にも、身体的にも多少不安定なことはありましたが、排卵をしない状態になるのでその症状が落ち着いてからは、私はとても穏やかに過ごすことができました。しかし半年間投薬を続けたのですが、卵巣の嚢胞が小さくならず…。手術をすることになりました。
── 手術に対する不安はなかったのでしょうか?
宮島さん:私の場合、両方の卵巣に子宮内膜症ができていたので、卵巣を2つとも手術しなくてはいけませんでした。そのため、手術をすることで妊娠しづらくなる可能性があると説明があったんです。でも、手術をするかしないかで迷いはなかったです。今、手術をしなければ、自分自身もしんどいですし、きっと今以上に周りの人に迷惑をかけてしまうので。これも自分の人生のひとつだと思いました。妊娠や出産、将来のことはわからないけれど、自分が思いきり生きられる道を選ぼうと決め、手術に挑みました。
── とても前向きな考え方ですね。
宮島さん:それでも「もっと早く自分の体の痛みと向き合っていたら、手術をしなくてもよかったんじゃないか」という後悔はあります。だからこそ今、生理痛が重くてつらいと感じている方には、「生理痛なんかで」と思わないで婦人科にこまめに行ってほしいです。もっと気軽に婦人科に行ける、そんな風潮になってほしいと心から願っています。
PROFILE 宮島咲良さん
みやじま・さくら。タレント・フリーアナウンサー。東京都出身。ワタナベエンターテインメント所属。大学卒業後の2007年、アナウンサーとして九州朝日放送に入社。2010年に同社を退社し、アナウンサーの枠を超えて幅広く活躍。
取材・文/大夏えい 写真提供/ワタナベエンターテイメント