小さい娘が「私も歌手になろうかしら?」
── お元気になられた娘のゆーゆさんは7歳のときに、『6さいのばらーど』という曲で歌手デビューされました。
井上さん:いつもレコーディングのときにはスタジオに連れていっていたんです。「いーなー、私もここで歌いたいな」って言っていたので、「井上あずみのジブリ名曲セレクション」というカバーアルバムで、ナウシカのレクイエムを娘が5歳のときに歌わせたんです。そしたら周りが「すごいねー!」って褒めてくれるもんだから、娘も得意になっちゃって(笑)。「私も歌手になろうかしら?」「パパ、私も自分の曲が欲しい!」と言い出したんですよ。
それで夫が友人の作曲家・作詞家に「6歳の子が歌ってちょうどいい感じの曲作ってくれないかなぁ」って頼んだら、『6さいのばらーど』という曲ができまして、歌手デビューしました。デモテープを作ってNHKのプロデューサーにプレゼンしたら、すぐ番組で採用になって、とんとん拍子にデビューが進みました。
── 現在、音楽系の大学に通いながら歌手として活動するゆーゆさんですが、同じ歌手として頑張っておられる娘さんを見ていかがですか?
井上さん:私は案外ステージに立つ前は緊張してしまうのですが、娘は全然動じないタイプなんですよ。歌の技術についても感覚ではなく、きちんとメソッドに忠実に、努力して歌を勉強しているところも尊敬しています。昨年、私が脳出血で倒れてお休みしていて、ついこのあいだ私の復帰コンサートをやらせてもらったんですが、彼女が企画・司会をしてラピュタの『君をのせて』を私の代わりに歌ってくれて。大きなホールで堂々と歌っている姿を見て、すごいなぁととても誇らしかったです。
PROFILE 井上あずみさん
いのうえ・あずみ。歌手。石川県金沢市出身。83年にデビュー。86年、スタシオジブリ・宮﨑駿監督作品『天空の城ラピュタ』ED挿入歌『君をのせて』に抜擢。続く『となりのトトロ』では『さんぽ』『となりのトトロ』『おかあさん」『まいご』など、主題歌・イメージソングを数多く歌う。2023年、歌手デビュー40周年コンサート当日に脳出血で倒れ闘病。リハビリを続けながら2024年11月にステージに復帰した。娘は歌手の今尾侑夕。
取材・文/加藤文惠 写真提供/井上あずみ