「今日はナポリタン作ります!」と娘とキッチンに立ち

川越達也
2013年、代官山の店にて

── 子育てはいかがですか?お子さんには週末のみ会っているそうですが。

 

川越さん:周りから見るとイラッとされるかもしれませんが、子育てはちゃんとしているとは言えないです。毎日一緒にいないし、都合のいいときだけ見ている感じになってるかもしれない。奥さんの不安や不満もあるだろうけど、「いてくれて助かった!」と思ってもらえるくらいのサポートは全力でやっていますが…。

 

── 3人の娘さんたちとは、どのように関わっていますか?ご自身と似ていると思うことはありますか。

 

川越さん:長女は僕に似たのか心配性で、「ママ!パパがこう言ってた!」ってすぐ告げ口します(笑)。次女は素直だし、自分の機嫌に正直よね。三女は輪をかけてわが道をいく。あと、最近はご無沙汰ですけど、長女は僕が料理をやってる人っていう認識はあるみたいで、日曜日のお昼に一緒に料理をしていたこともあります。「今日はナポリタン作ります!」と言って、一緒に作って写真も撮って。専用のファイルに娘が撮った写真や描いた絵を保管しています。うれしかったのは、前に娘の学校の家庭科の授業に先生として呼んでいただいたことがあったんです。僕が先生、長女が僕のアシスタントになって料理をしていきましたが、すごく和気あいあいとした雰囲気の中で長女もクラスの子どもたちとも関わることができたし、こんな素敵な時間が過ごせるとは夢にも思わなかったですね。

 

自分でも親バカなのかなって思うこともあるんですよ。たとえば、長女と次女にバイオリンを習わせていますが、はじめは全然弾けなかったところからスタートして、少しずつ弾けるようになってきた姿を見て涙が出るとか。朝、子どもたちを見送ってランドセルがどんどん小さくなっていく姿を見ると泣けてくる。奥さんと娘がけんかしているときでさえ、赤ちゃんだった娘がどんどん成長して、自分の言葉で母親とけんかしてると思うと涙が出てくるんですよね。

 

── 幸せを感じる瞬間がたくさんありそうです。

 

川越さん:夜、僕が長野にいるときは、子どもたちに「今日もありがとう。愛してるよ」と言って1日を終えます。いつか娘たちから「そういうのいらない」って言われる日がくるかもしれませんが(笑)。子どもたちと一緒にお布団に入って、子どもたちが寝入ったときの幸せったらないですね。今日も元気に学校や保育園から帰ってきてくれたって思うとまた涙します。

 

── 長野でのコミュニティもあるそうですね。

 

川越さん:近所の児童館に子どもを連れていくと、そこで親御さんたちとお話しするのも楽しいですし、ハロウィンでは子どもたちと一緒に街を練り歩いたり、夏になれば近所の夏祭りに行ってお神輿を担がせてもらって。地域の方たちにもよくしてもらってありがたいです。

 

PROFILE 川越達也さん

かわごえ・たつや。1973年生まれ。宮崎県出身。27歳で「ティアラ・K・リストランテ」をオープンし、その後「TATSUYA KAWAGOE」に改名し代官山に移転。現在は東京と長野と宮崎の東京3拠点生活を送り、商品開発やコンサルティング業務に携わる。7月に始めたYouTube「川越シェフだよ。」がスタート。

 

取材・文/松永怜 写真提供/(株)タツヤカワゴエ