『キングオブコント2017』で準優勝し、その後は相方・スーパー3助さんとの「カップル芸人」としても話題になった「にゃんこスター」アンゴラ村長さん。しかし、当時は求められるイメージとやりたい仕事とのギャップに葛藤したそう。2020年に破局後もコンビを続け、今年初の単独ライブを成功させたにゃんこスターが今、目指すものとは。(全4回中の2回)
カップル露出が増えるも「おもしろいと思えずきつかった」
──『キングオブコント』準優勝後は、当時交際中だったスーパー3助さんとのカップル露出も増えました。当時は恋愛トークが求められるのは、本意ではなかったそうですね。
アンゴラ村長さん:そうですね。コンビでつき合っていて仲がいい感じがおもしろい、と自分たちが思えてやっているならいいと思うんです。でも、私はテレビでそういう話題をやっていてもあまりすすんで見ないかもな…と思ってしまって。自分の心に反して、思ってもいないことをやらなきゃいけないのが、当時はけっこう苦しいなと思っていました。
胃に漬物石がドンって乗っているかのような毎日で。でも、仲よしエピソードを求められたら、何か言わなきゃいけない。視聴者からも「気持ち悪い」「おもしろくない」と言われて、「私もやりたくないんですけどね」っていう。誰も幸せになってないループが回っている、みたいな。
── それはつらかったですね…。
アンゴラ村長さん:だから、別れた後に「本当に3助さんってだらしないんです」「気持ち悪くて仕方がない」ってネタにしているほうが気分がいいなって感じがしますね(笑)。
── 3助さんと別れたことによって、ご自身のなかでどんな変化が起きたのでしょうか。
アンゴラ村長さん:3助さんと一緒に暮らしていた時期は「飲みに行くけど来る?」と誘われて行くと、いらっしゃるのがすごい上の先輩ばかりなんです。3助さん、芸歴が11年も上なんで。三四郎の小宮さんとか、鬼ヶ島の野田さんとか。そういうすごい先輩たちと飲みに行くので、自分は何もしなくてよくなっちゃう。みなさん優しいので気をつかってくれるし、おもしろいので、私はただ話を聞いて笑ってるだけでよかったんですね。
でも、3助さんと別れてからは、同世代の子や後輩と飲みに行くことが増えて。そこであらためて、人間関係を築くには、自分から相手に一歩踏み込まなきゃいけないんだ、って気づいたんです。当たり前のことなんですけど…。
── 大事なことですよね…。
アンゴラ村長さん:私自身、3助さんの飲み会ですっかり「待ち」のスタンスに慣れてしまっていました。でも、一歩踏み込んで相手に興味を持ったり、自分のことをおもしろく話したりしないと仲よくなれない。「人見知りだとか言ってられないな」という感じで考えが変わったかもしれないですね。
── 今年はにゃんこスターとして初の単独ライブも開催しました。求めるお笑いには近づけていますか?
アンゴラ村長さん:そうですね。ここ数年は、本当に好きなことをやっている実感があります。「にゃんこスター」として世に出て、1年ぐらいは新ネタも作れなくて。2年目からはちょこちょこ作り出したんですが、自分たちのお笑いの理論がなかったので苦労しました。1本目のネタで売れたので、私たちは「『にゃんこスター』って、こういうことをすればウケるよね」ということを実感しないまま世に出てしまったんです。
だから、2本目のネタを作るときに、自分たちに何が期待されてるのか、まったくわからなくて。それこそ縄跳びを跳んだらおもしろいのか、音楽に合わせたらおもしろいのか。それとも3助さんの大きい声のツッコミがおもしろいのか。自分たちがどうしてウケているのかを考えながら新ネタを作らなきゃいけないのは、けっこう大変でした。
ただ、それを7年間続けてきて、今回の単独ライブでは、縄跳びが出てこなくても自分たちの持ってるものだけで笑ってもらえるようになったんです。最初の1歩は、思い描いた理想の形とは言えないけど、これまで頑張ってきて好きな道にはなってきたかなと感じています。